伊藤忠が4年ぶりに「商社首位」を奪還する理由 ライバル・三菱商事子会社の不正で逆転か
「4年ぶりに三菱商事を抜き、首位になれるかもしれない」
総合商社2位・伊藤忠商事の社内が活気づいている。総合商社首位・三菱商事の2019年4~9月中間期決算が発表された11月6日、伊藤忠の岡藤正広会長CEOは全社員にメールで次のようなメッセージを発した。
「ONE ITOCHU となってトップを目指そう」
社員たちは「結束して三菱商事を追い抜こう」というメッセージだと受け止めた。
2019年度上期の商社1位は伊藤忠
伊藤忠が11月1日に発表した2019年4~9月中間期の純利益は、前年同期比12%増の2891億円。三菱商事が6日に発表した2019年4~9月中間期の純利益は前年同期比21.6%減の2424億円(いずれもIFRS)。つまり伊藤忠のほうが400億円強上回っており、2019年度上期時点では伊藤忠が総合商社ナンバーワンの純利益を稼ぎ出した。
2019年度通期の純利益は、三菱商事が5200億円と伊藤忠の5000億円を上回る見通しになっている。だが、伊藤忠は「300億円の(利益上振れの)バッファーを持っている」(鉢村剛CFO)と公言。通期でも伊藤忠商事が首位に立つ可能性がある。
もし実現すれば、首位逆転は4年ぶり。三菱商事など総合商社各社が資源安に苦しみ、赤字を計上したとき以来のこととなる。
だが、この逆転は伊藤忠商事の業績が急拡大するからというよりも、三菱商事の減益幅が大きいために生じるものだ。特に、グループ会社の不正取引による損失が三菱商事の足を引っ張っている。
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