英語民間試験延期が大学入試改革に与える影響

共通テストの配点も基礎診断運用も問題だ

また、せっかく「大学入学共通テスト」における英語民間試験導入を大幅に遅らせるのであれば、ついでに国語の記述式問題の導入も見送りが検討されてもいいはずだ。

短期間で50万人規模の採点をするには1万人規模のアルバイトに採点させるしかない。アルバイトに採点させるとなると、採点基準の明確化が重要になる。採点基準を明確化するためには、解答に幅が出ないように、設問条件を厳しくしておく必要が発生する。実際にプレテスト(試行テスト)では、解答の書き方を、使用する接続詞に至るまで細かく限定した問題が出された。結局問題文の中から条件に当てはまる文章を抜き出して切り貼りするだけの作文になり、本当の意味で思考力や表現力を見るための記述式問題とはいえない。

自分が何点取れたのかわからない

さらに、記述式問題の3問をそれぞれ「正答の条件」との合致率によってa〜dの4段階で評価し、3問の4段階評価の組み合わせから、記述式問題の総合評価としてA〜Eの5段階評価に落とし込むという複雑怪奇な評価方法になる。それがしかも、「国語」の200点満点とは別に、付与される。A〜Eの評価をどのように得点換算するかは、大学に委ねられている。つまり、受ける大学によって、「国語」の総得点が変わってしまう。

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そしてそもそも受験生たちは、自分の記述式の解答を、さきほどの複雑怪奇な方法に従って自己採点しなければいけない。プレテストの「国語」記述式問題での自己採点不一致率は約3割にも上った。自分が何点取れたのかわからないまま出願先を決めなければいけないというのはあまりに乱暴な仕組みだ。

受験生に何度も激震を与えるのは望ましくない。英語民間試験導入の見送りを決定したこのタイミングを千載一遇のチャンスととらえ、国語記述式問題の導入や「高校生のための学びの基礎診断」の運用方針についても、いま、ここで、見直してはどうか。どうせやるなら一気に膿を出すほうが筋は通る。そのためにも、11月5日に衆議院文部科学委員会で行われる予定だったベネッセへの参考人質疑は延期しないでもらいたい。

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