大学入試改革「炎上」の裏に潜むもう1つの火種

英語のみならず数学と国語でも民間試験導入

検定試験の出題パターンは決まっているので、対策はとりやすい。とくにAI式の個別学習支援サービスとの親和性は高い。わざわざ教員が工夫を凝らした授業をしなくても、オンラインの映像授業を見せればこと足りる。

教員が楽になる分、いわゆる「アクティブ・ラーニング」など、新しい授業形式を実践して「思考力・判断力・表現力等の能力」を育成するようにと文部科学省や教育委員会は言うが、保護者からはもっと検定対策の時間を増やしてほしいという意見が強まる。

各学校は各検定での合格率をホームページで発表する。とくに中堅校以下ではこれが学校選びの重要な指標とされ、合格率が低い学校は入学者が減る。

英語試験導入の裏で進むもう1つの民間委託

以上は拙著『大学入試改革後の中学受験』で想像した、大学入試改革後の高校教育の姿である。あくまでフィクションで、いじわるなシナリオではあるが、大学入試改革がこのまま進むのなら、現在の小学生たちが高校生になる頃には十分にありうる未来だ。

高校以下の教育が大学入試と密接に結びついてしまい、それに規定されてしまっている現状を変えようと言っていたはずなのに、大学入試を変えることによって高校以下の教育を変えようとする発想自体が大学入試と高校以下の教育をさらに強固に結びつけてしまい、必然的に矛盾を招きかねないのだ。

大学入試改革は2020年度を初年度として、継続的に進められるものである。2024年度には新学習指導要領の下で学習した高校生が大学入試を受けることになるため、そのタイミングに合わせて「大学入学共通テスト」も「高校生のための学びの基礎診断」も新学習指導要領に基づいた内容になる。

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