この記事の後の方に「低迷する株式発行と対照的なのが年間2兆ドル規模と過去最高の発行ペースになっている社債市場だ」、「アメリカでは債務超過でありながら自己株買いを実施する企業すら存在する」とあるように、社債で資金を調達してでも、自己株買いを行って、株価を上げようとする経営者が多数いて、それが経営者自身の個人的な利益にもつながっているという構図が見える。
彼らは、金融マンと同じくらい強欲で自分本位だから、現在の環境と自らが持っているチャンスを徹底的に利用するはずだ。
「壮大な悪の物語」が進行、「正義の味方」は誰か?
今回のバブルの物語は、同情される可哀想な大衆が登場するのではなく、借金をしている連中も確信犯であるという、「壮大な悪の物語」だ。
ちなみに、日本の企業経営者達は彼らほどまだ悪に染まっていないが、「コーポレートガバナンス改革」を旗印に、何周回か遅れて、アメリカ企業の経営者のような企業経営を目指しているのが、現在の日本企業の姿である。地味すぎて、注目されない。今回も台詞があるような役は振ってもらえそうにない。
今のところ、将来起こる大ピンチを救う、正義の味方のキャスティングが決まっていない点が気懸かりだ。スポンサー達が前のめりであるだけに、脚本家もエンディングを決められないが、命懸けのアクションになるだろうから、引き受け手がいない。大穴として、世界経済を救う正義の味方は、ジャッキー・チェンのような東洋人かも知れないと想像しておこう。
ハリウッドの映画だと、始まってから1時間50分くらいでクライマックスになって問題が解決するのだが、今回の物語はもう少し長尺になりそうだ。
個人投資家の皆さん(読者の多くが、実質的に個人投資家のはずだ)は、物語の構造を頭に入れて、じっくりとストーリーに付き合って欲しい。凄惨な場面に出くわしても、決して視聴を止めずに、「地球が救われる日」を信じてスクリーンを見続けて下さい。万が一損をしても、お金で済む話である(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)。
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