新型フェラーリ、雨でも驚きの「乗りやすさ」 「F8トリブート」イタリアでの試乗レポート

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車体各所のスポイラーや整流板など、いわゆる空力付加物はしっかり”仕事”をしてくれているのだろう。ステアリングホイールの動きに合わせて、車体がおもしろいようにスムーズに動く。

とくにフロントには「Sダクト」が設けられているのがF8トリブートの特徴といえる。空気を採り入れてダウンフォースを作り、前輪をしっかり地面に押しつけ操舵性を確保するのが目的だ。

空気を効果的に採り入れるのは、このようにダウンフォースを作りだすとともに、冷却気にとっても重要だ。ターボ化されたV8エンジンのためと、空調システムのために、ラジエターやインタークーラーに積極的に空気をあてるのに、まるでF1マシンすら連想させるボディ各所の空力付加物が効果を発揮する。

航空機のタービンからインスピレーションを得たという空調用のエアアウトレットが並ぶダッシュボードは、レザーと炭素樹脂を使って有機的なカーブを作り出したものだ。

いかにも軽そうなシートだがクッションはしっかりと入っていて、長い距離のイタリアの田園地帯のドライブでからだのどこかに苦痛を感じたことは皆無だった。

車体は軽量化、加速能力も向上している

ステアリングホイール背後のパドルシフトは上下方向にとても長いのも特徴的である。ステアリングホイールを回す角度に関係なく、すばやくシフトが行えるようにという配慮だろう。

ワイパーレバーがステアリングホイールのセンター部分のボタンになっているのもユニークだが、じつは慣れると、意外なほど使いやすい。走っていると、突然の雨に見舞われた今回のドライブで、しっかりその機能的デザインを検証することが出来たのである。

90度の3902ccV8ターボエンジンは、530kW@7000rpmの最高出力と770Nm@3250rpmの最大トルクを発生し、7段ツインクラッチギアボックスを介して後輪を駆動(写真:LEON編集部)

488GTBの670CV(493kW)に対して、F8トリブートの3902ccV8ターボエンジンは、720CV(530kW)を発生する。車体は40キロ軽量化。結果、静止から時速100キロまでに要する時間は3.0秒から2.9秒に、時速200キロまでは8.3秒から7.8秒へと短縮されいるのだ。

加速が向上しているのは、空力の見直しによるところが大きい。さらにコーナリングスピードも空力ボディの恩恵を受けている。フェラーリによると、空力設計のおかげで、コーナーの脱出速度は488GTBより6パーセント速くなっているという。

フェラーリが説明してくれたF8トリブートの位置づけは、488GTBよりパフォーマンスでも快適性と多用途性でも、上を行くというものだ。

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