新型フェラーリ、雨でも驚きの「乗りやすさ」 「F8トリブート」イタリアでの試乗レポート

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トルクをコントロールしてタイヤがスピンしないようにするのがウェットモードの目的だ。いっぽう、そのためにドライバーは思いきりよくアクセルペダルを踏める。

「スピンしたって、テストコースは十分にマージンがあるから、だいじょうぶ」。最初の同乗走行で、F8トリブートのポテンシャルを垣間見せてくれたフェラーリのテストドライバー氏は、そう言って笑った。

実際のところ、ウェットモードでも、ストレートの始まり以外で、アクセルペダルを床まで踏む気になれなかった。ただし踏んだときは、車輪はしっかり路面をとらえて、車両はいっさい進路を乱すことなく、期待以上の加速力で直線路を駆け抜けるのだ。

ブレーキも正確で、確実である。スポーツカーの本質的なよさとは、加速力よりも、ブレーキの繊細さにあると私は思っている。F8トリブートはその期待に100パーセント応えてくれた。

素直なハンドリングで、車体がスムーズに動く

微妙な路面のうねりや小さなコーナーの連続では、ドライバーはブレーキをうまくコントロールする必要がある。アクセルペダルを緩めてターンインのきっかけを作るのだが、高速から入っていくときは制動も必要だ。

踏みすぎては速度が落ちすぎてしまい、逆に速度を回復するためにアクセルペダルを必要以上に踏んで姿勢が不安定になることも、一般論としてはある。

F8トリブートは、許容範囲が広くて、アクセルペダルを多少乱暴に踏んでも、ウェットモードであるかぎり、挙動はいっさい乱れない。

ハンドリングも安定している。ピレリのノーマルタイヤだったが、濡れた路面も確実にグリップし、加減速の速さはまことに気持がいい。488GTBより径が小さくなったステアリングホイールを切ったときの動きは、じつにナチュラルだ。

次ページ0-100km/h加速は2.9秒に短縮された
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