「入場料を取る書店」がまさかの大流行した理由

お客はいったい何にお金を払うのか?

そこで、担当者は考えた末、「リアル店舗ならではの体験」を提供する対価として有料化のアイデアを思いつき、数カ月間の準備で文喫が生まれたという。

これまでの書店は、書店ならではの「新しい知識との偶然の出合い」という価値を無料で提供していた。その価値に価格を付けるという挑戦をしているのが、文喫なのだ。

ジュンク堂新宿店が教えてくれた書店の価値

書店本来の価値を教えてくれるある出来事が、7年前にあった。2012年3月、ジュンク堂書店・新宿店の閉店である。

書店員は自発的に本を持ち寄り、「本音を言えばこの本を売りたかった!! フェア」と名付けた最後のブックフェアを実施した。本1冊1冊に、書店員の熱い手書きメッセージ付きポップが丁寧に添えられた。

店内の至る所には、特大メッセージが掲げられた。

「書店はメディアだ」
「ホント本屋が好き!」
「わたしたち、本にはいつも片想い?─書物に対する欲望と快楽、その現代的考察」

書店員の情熱は客にも伝わり、SNSの口コミで話題は急拡大。

ソーシャルメディアでは、こんな声が寄せられた。

「素晴らしすぎて、なんか久々に書店で胸がじんとなった」
「やばい行きたい、ジュンク堂新宿店行きたい」
「ジュンク堂新宿店が、店員さんたちの愛と狂気で満ちているらしい」
「ジュンク堂新宿店の店内がすごいとはよく聞くが、それが本来の小売業なのよね」

最後のブックフェアの売り上げは、通常の2~3割増。3月31日の閉店日には多くの客が詰めかけ、閉店間際にはレジに大行列。書籍の棚はガラガラになった。退店する大勢の客を、ジュンク堂新宿店の店員は総出で見送ったという。

新宿店の店長は、このように語っている。

「リアル書店が果たさなければならない役割がある。『こんな本があります』という提案型の売り場作りや、実際に本を見て選んでもらえるのは、リアル書店だからこそです」

次ページ文喫が目指したことは…
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