元運転士が語る「鉄道業界の飲酒」実情と課題

肝機能に個人差、不規則な勤務時間も遠因

鉄道運転士の酒気帯び運転の問題はどうなっているのだろうか(写真:のりえもん/PIXTA)

昨年、日本航空のパイロットがイギリス国内で基準値を超えるアルコールが検知され逮捕された事件を契機に、パイロットの飲酒問題が世間の注目を集めるようになった。9月27日にはジェットスター・ジャパンの機長2人が前夜の飲酒が原因で乗務できず、4便を欠航した。乗客を乗せる公共交通機関を運行する立場としてあるまじき事態であるが、鉄道業界においてこのような乗客の安全を脅かす事態につながる酒気帯び運転の問題はどうなっているのだろうか。筆者は大学卒業後に大手鉄道会社に入社。運転士としての勤務経験もある。そのときの経験を踏まえながらこの問題を考えてみたい。

10月18日から基準を明確化

日本の鉄道においても運転士の酒気帯び乗務は禁止されている。ただし2010年に制定された「動力車操縦者運転免許の取消等の基準」によれば、「酒気を帯びた状態で列車を操縦した者」が違反の対象となっていただけであり、とくに明確な基準が国から設けられているわけではなかった。

鉄道事業者ごとに社内規定を設けてアルコールチェックを行ってきたのだが、10月18日から適用される新たな基準では、運転免許取り消しの目安として「呼気1リットルにつき0.09mg以上のアルコール濃度を保有している場合」と定められる。明確な基準が設けられたのだ。

なお、この0.09mgという数値は「航空従事者の飲酒基準」と同数値である。自動車の酒気帯び運転の対象となる数値が0.15mgであるから、それよりも厳しい値に設定されている。鉄道しかり、航空しかり、多くの乗客を乗せての運転となるのだから、厳格な基準は当然ともいえる。

2012年には愛知環状鉄道にて出発点呼時にアルコール検査を身代わり(車掌が酒気帯びだった運転士に代わって検査した)という事案が発生した。そのような不正を防止するため、助役等の点呼担当者の目の前でアルコール検査を行うようにしたほか、さらにはチェック時の様子を録画する機能が備わった検査器を導入し、対策を強化している。

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