元運転士が語る「鉄道業界の飲酒」実情と課題 肝機能に個人差、不規則な勤務時間も遠因
乗務前のアルコール検査に引っかかったとしても、病欠や忌引き、異常時の対応など不測の事態に備えて待機している予備乗務員に乗務を交代することにより、会社として難を逃れることもできる。つまり、アルコール検査に引っかかった乗務員がどれだけいるかは表面化していないだけである。
先述のとおり各事業者や個人レベルでも対策を行っており、その結果として危険な酒気帯び運転を未然に防ぐことができているといってよいだろうが、一度今回のような事態が発生すれば、会社の信頼は一気に失墜してしまうだろう。
寡占的な業界こそ、大きな改革を
日本航空は乗務前の飲酒検査で基準値を超えるアルコールが検知されたパイロットについて、解雇も含めた厳しい処分で臨んでいる。鉄道各社においても、今後このような動きが見られるのだろうか。
トラック運転手の飲酒により運送会社が営業停止処分を受けたという事例はあるが、鉄道や航空会社などの寡占的で社会インフラの側面を持つ業界では、いきなり「業務停止」などの措置が取れない。このような構造自体が根本的な問題解決を遅らせているとも考えられる。
人命に関わるかもしれない大きな問題に対しては、乗務員・事業者自体の意識改革ももちろん必要であるが、アルコール基準値だけではなくその前段階である労務管理や規定の部分を、国が大鉈を振るって早めの指揮を取ることもしてほしい。
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