トランプはアメリカ初の罷免大統領になるのか 「ウクライナゲート」で弾劾調査開始の波紋

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弾劾調査の開始を宣言したペロシ下院議長(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

9月27日時点で、既に下院では過半数を超える225人の議員が弾劾調査を支持した。支持者は民主党議員223人と無所属議員1人、そして共和党議員1人だ。これはあくまでも「弾劾調査」への支持であり、「弾劾」自体の支持の割合がどうなるかは弾劾の内容が確定するまで不透明だ。とはいえ、大統領の直接関与を示す新たな証拠が徐々に判明する中、民主党が多数派の下院では弾劾が成立する可能性が高まっている。

しかし、下院弾劾後の次のステップである上院では状況は異なる。共和党が多数派の上院では引き続き罷免は困難を極める。共和党内では大統領への支持が9割を超える。今後、穏健派の上院共和党議員が罷免支持にまわり始めるかどうかが重要だ。もし、そのようなことが起これば、大統領を擁護してきた共和党のダムが決壊し、次々に共和党議員が罷免支持を表明することもありうる。

ただ、仮に民主党上院議員全45人と無所属で民主党と統一会派を組んでいる上院議員2人が罷免を支持しても、少なくとも共和党上院議員20人の支持を集めなければ罷免で必要となる上院3分の2の67人に達しない。

そもそもミッチ・マコネル上院院内総務(共和党)が上院規則を変更し、民主党の批判を無視して上院での審議を拒否する可能性さえある。オバマ前政権時代に、マコネル上院院内総務は、前大統領が指名したメリック・ガーランド最高裁判所判事候補の指名承認公聴会を開催せず、同候補承認をブロックした前例がある。

ペロシ下院議長は弾劾調査開始判断を早まったか

弾劾は大統領の職だけでなく、民主党議員の職もリスクにさらす。弾劾の行方次第では、2020年大統領選でトランプ大統領の再選が阻まれる展開がありうる一方、逆に再選を確かなものとする展開もありうるのだ。

有権者が弾劾について、民主党が政権を奪還するためのワシントン政治における党派的な取り組みに過ぎない、と捉えてしまうリスクがあるからだ。その場合、クリントン大統領弾劾後にみられたように、弾劾を推進した政党にしっぺ返しがあるかもしれない。そうなれば、次期選挙で民主党は敗れ、下院で再び少数派に転落するリスクが高まる。

疑惑の全貌が見えずまだどちらに転ぶか不透明な中、ペロシ下院議長は思い切った判断を下したようにも見える。

ペロシ下院議長はこれまで弾劾の条件として、①簡単に理解できること、②幅広い国民が支持していること、③上院で一部共和党議員が支持していること、の3点を挙げていた。現時点では、①については満たしているものの、②と③についてはまだ満たしていない。

だが、ペロシ下院議長の正式発表後は国民の弾劾に対する支持は高まっている。ポリティコ誌・モーニングコンサルトによると、弾劾手続きに対する国民の支持は最新世論調査(9月24~26日)で43%に達し、同議長が発表する前の前回調査(9月20~22日)から7ポイントも拡大した。

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