「厳格なしつけ主義」が日本の親子を不幸にする

服装や頭髪指導をやめた校長の信念

きびしくしつける、その代償は…(写真:アオサン / PIXTA)
「宿題の廃止」や「固定担任制の廃止」など学校の”あたりまえ”をやめた改革で話題の麹町中学校。さらにこの中学校では、服装・頭髪指導も全廃されました。
「服装の乱れは、心の乱れ」は大人のつくったルールにすぎない。そう断言するのは、改革の中心人物・工藤勇一校長です。「校則がなくて規律を守る大人になれるの?」「しつけはどこまで厳しくすればいいの?」そんな親の素朴な疑問に新刊『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』から丁寧に答えてもらいました。

 

自由な校風を目指したわけではない

徹底したスパルタ。極端な放任。親の数だけしつけの方針があると言っても過言ではありません。学校も同じで、いまだに軍隊組織のような厳格なルールで子どもたちを縛る学校もあれば、自由な校風をアピールする学校もあります。

麹町中学校には、細かい校則はほとんどありません。私が校長に赴任してから服装や頭髪指導もやめました。

「なぜ自由な校風を目指すのですか?」

「自由な環境であれば、子どもの自律の訓練になるからですか?」

そんな質問を受けることがありますが、そうではありません。当校では、大事にしている概念のなかに校則がないだけです。つまり、子どもにとって「自由であるか? 自由でないか?」という議論は、存在しなくていいのです。ここは誤解を招きやすいところなので、丁寧に解説します。

たとえば、イスラム教徒の女性はヒマールやヒジャブと呼ばれる服装を身につけています。それは戒律があるから従っているだけで、彼女らにとってはあたりまえの行為です。いってみれば、私たちが「普段、服を着る」のと何ら変わりはありません。着方・種類のちょっとした違いだけです。

世界を見渡しても、そうした文化の違いはいくらでも存在します。ただ「違っている」というそれだけです。その「違い」が「どのくらい違うか」に目を向けることは、果たして重要なのでしょうか。

私たちは、教育の本質として服装や髪型、見た目の違いを取り上げて騒ぎ立てることを、重要であるとは捉えていません。校則を減らしていくと不安がる親やOBはたくさんいらっしゃいます。とくに就任当初は、きついお叱りの言葉もいただきました。ただ考えなければならないのは、「何を教えるべきか」です。

次ページ「問題をつくる」のはいつも大人
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「安売り日本」はもう限界、ニッポン再生計画
「安売り日本」はもう限界、ニッポン再生計画
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
勝ち組シニアと負け組シニア<br>定年格差

「45歳定年」発言に対し一部で猛反発。現実には法改正で70歳までの雇用確保が今春努力義務化されました。人生100年時代といわれる今、従来の定年はもはやなくなりつつあります。老後も働くシニアが第二の人生を勝ち抜くためにすべきことは何でしょうか。

東洋経済education×ICT