役所の無責任・非効率に憤る30歳公務員の嘆き 「安月給」「長時間労働」「クレーム」の三重苦
藤田さん曰(いわ)く「残業は22時まで」というのは、実は表向きの決まりであるそうだ。22時以降になると給与形態が切り替わるため、タイムカードは必ずそれまでに打刻するよう、上から指示されているのだという。
定時にタイムカードを押した後にサービス残業をさせる「不正打刻」は、民間企業でも広く横行している問題だ。私自身、会社員時代に残業時間の調整のため、不正打刻を強要された経験がある。けれども、行政機関でも同じようなことが堂々と行われているというのは、少々意外であった。
「実際は、何時頃まで残業をしていたのですか」と聞くと、藤田さんは「いやあ、23時頃には退勤してましたし、終電を逃すようなことはありませんでしたから。激務の会社に勤めている友人たちに比べると、大したことないです」と笑った。それから、「でも」とこう付け加えた。
「1人きりで毎日遅くまで残業していた時期は、いろいろ思うことはありました。比較的早い時間に帰れるのが、公務員の魅力だと思っていたので……」
まるでサウナ…真夏の過酷な労働環境
藤田さんは謙遜していたが、一般的に、繁忙期とはいえ22時や23時までの残業が連日、しかも数カ月にわたって続くのは、決して「健全な労働環境」だと言えないだろう。実際、中には無理がたたって精神を病んでしまう人もいたという。担当している案件で何か問題が起これば、責任が自分1人に降りかかる分、プレッシャーもかなり大きい。
公的組織の性質なのか、とにかく責任の所在を事前に明らかにしたがる傾向にある。何かするためには、いちいち書面にサインをして「誰がOKを出した、誰が発議した」と証拠を残さなければならない。万が一不都合や問題が発生した際は、書面に名前が書かれている人間が責任を負う、というわけだ。
定時の17時半になると、サーバールームを除く市役所の全館で、空調設備の電源が自動的に落とされる。職員が自由に操作できるものではないため、とくに真夏は、まるでサウナのような室内での作業を余儀なくされている。
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