スタバが「銀座に構えた新店舗」は何が違うのか 自社の弱点解消を目指した「新業態の中身」

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4人掛けのテーブル席を多めに配置している(写真:スターバックス コーヒー ジャパン)

さらに、「大人数で利用しにくい」という不満に対しては、通常のスタバはカウンター席や2人掛けの席がほとんどだが、同店では席数が97と比較的多いうえ、4人掛けのテーブル席を多く設けている。同店では2階に上がると、席案内のスタッフが常駐しており、複数人で利用する場合はそのスタッフに声をかけると席を手配してくれる。

スターバックスコーヒージャパンの前2018年9月期(2017年10月~2018年9月)の業績は売上高1827億円、営業利益155億円となり、ともに過去最高を更新した。2021年には現在の1458店からさらに店舗数を伸ばし、1700店体制にする方針も掲げている。

ただ、これまで通りの店舗作りではその後の出店余地が限られ、業績を伸ばすのが難しくなる懸念がある。そこで、客層の拡大や1人当たりの客単価を引き上げる新業態を打ち出したというわけだ。

回転率が下がってしまう懸念も

他方、前出の競合チェーンの社員は、「フードを注文する客が増えれば客席の回転率が下がるが、そのバランスをどう取っていくのか」と指摘する。長居する顧客が多ければ、慢性的な混雑につながってしまう。複数の弱点を一気に補強しようと試みるスタバだが、結果的に収益が下がってしまう可能性もあり、今後注視する必要がありそうだ。

今回は既存のスタバを改装し、リニューアルオープンでの出店となった。今後の展開については、「まずは1号店に注力して、ノウハウを蓄積したい。新しい取り組みがどう評価されるも見極めたい。その後は、首都圏を中心に新規出店していければいい」と、スターバックスコーヒージャパンの石原一裕・サイレンリテイル統括オフィサーは話す。

カフェチェーンで首位をひた走るスタバの新たな挑戦。この新業態が軌道に乗るか否かによって、中長期的な成長速度が変わってくるかもしれない。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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