ジム・ロジャーズ「消費増税はクレイジーだ」 このまま増税すれば「日本破綻」に行き着く

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ロジャーズ氏は続けます。

「あなたのお金をどうすべきか知っているのは誰だろうか。安倍首相のほうがよくわかっている、と思うだろうか。もちろん、そんなことはない。自分のお金をどうすべきかをいちばん知っているのは、いつだって自分自身なのだ。

日本人が自らお金の使い道を決められるようにするためにも、日本政府は支出を大胆に削減し、減税を実施して日本人の活力を高めなくてはならない」

10%に増税されたとしても、日本の消費税は世界的にはかなり低い水準です。

デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど福祉が充実している国では25%と高く、フランス、オーストラリア、イギリスも20%です。最低限の福祉で税率の低いシンガポールは7%ですが、グローバル化で経済の国境が低くなった今、所得税や法人税といった直接税に高い税率をかけると国内の資本や資産が海外に逃げてしまうため、間接税を引き上げざるをえないという事情があります。

そうした世界的な流れからも、日本の消費税はヨーロッパ並みに上がっていく可能性が高いでしょう。

ややこしい軽減税率で「牛丼」が大混乱

消費税は所得の多寡にかかわらず同じ税率をかけるため、低所得者の負担が重くなりがちです。それを考慮して、飲食料品や一定の新聞などは軽減税率で8%に据え置かれる予定ですが、酒類や外食やケータリング等(一部を除く)は10%になるなど、小売業者や飲食業者、消費者にも混乱を招くほど複雑です。

例えば牛丼チェーンでは増税への対応がそれぞれ異なりそうです。「すき家」と「松屋」は「並盛」の税込み価格について、店内飲食か持ち帰りかにかかわらず、現行と同額にすると発表しました。つまり、本体価格を下げて税込み価格は据え置きという対応です。

一方、「吉野家」はすでにメニューを税抜きの本体価格表示に切り替えており、店内飲食には10%、持ち帰りには8%の税率をかけて販売する予定です。

このように各社で対応が違うために、消費者にとっては非常にややこしいのです。また、今後さらに増税される可能性を考えると、吉野家のように税抜き本体価格表示にしておかないと都度対応することになり、企業側の負担も大きくなりそうです。

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