日経平均株価2万円は岩盤でも鉄板でもない 機械が作る「トランポリン相場」が終わるとき

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このように、「人間の」投資家たちは、徐々に主要国の株価は下向きだ、との観測を強めているのだと推察している。だが、それでもトランポリン相場が規模を小さくしながらも存続しているのは、「人間ではない」投資家の存在によるものだろう。

アルゴリズム取引が株価を振り回す

つまり、ニュース項目をネットでサーチして、株価指数先物などを売買する、いわゆるアルゴリズム取引が、市況をブレさせている、との指摘がなされている。たとえば「米中協議」などの語句がネットニュースで流れる項目数が急増すると、自動的にプログラムが発動して株価指数先物を買う、といったような投資家だ。

一口にアルゴリズム取引と言っても、その売買のアルゴリズム(定式化された手順)は、さまざまだ。たとえばVIX指数(恐怖指数)がある値を超えると株価指数先物を売る、など、何らかのテクニカル指標に基づいて売買するものも多いようだ。

あるいは、このところイールドカーブの逆転(長期金利が短期金利より低くなる)が話題となっており、人間たちは、そうした逆転は「景気後退を示す着実なサインだ」、「いや、景気の先行きを示しているものではなく、他の要因によるものだ」、などと議論している。

しかし実際にイールドカーブの逆転で大いに株式に売りを出しているのは、主としてはやはり人間の投資家ではなく、アルゴリズム取引によるものとの観測がある。

残念ながら、こうした種々のまさに「機械的な」取引は、すぐに退潮することはないだろう。むしろ、世界的な不透明感から、人間の投資家が売りも買いも控えて、売買高が低迷するほど、アルゴリズム取引による売買が短期的には株価を振り回す傾向が強まるだろう。

こうした市場動向の中、われわれ人類としては(笑)、目先の株価動向に一喜一憂せず、トレンドに沿って投資行動を律することが肝心だ。そうでないと、目先の株価の上振れで買い、下振れで売る、という事態に陥ってしまうだろう。

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