トヨタが今期予想を上方修正 円安追い風に6年ぶり最高益へ
[東京 4日 ロイター] -トヨタ自動車<7203.T>は4日、2014年3月期連結業績予想(米国会計基準)を上方修正した。営業利益は前期比81.7%増の2兆4000億円となり、6年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。国内などでの販売好調や円安効果が寄与し、従来予想から2000億円上振れる。
修正した営業利益予想はこれまでの最高だったリーマン・ショック以前の08年3月期実績2兆2703億円を上回る見込み。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト26人の予測平均値2兆4760億円に対しては約3%下回っている。
今期の純利益予想は従来の1兆6700億円から前期比97.5%増の1兆9000億円に増額した。純利益もこれまでの最高だった08年3月期実績1兆7200億円を上回る。売上高予想は同15.6%増の25兆5000億円と従来の25兆円から5000億円引き上げた。
今期の想定為替レートは1ドル=100円(従来は97円)、1ユーロ=134円(同130円)とした。
<今期最高益は営業努力と原価低減の成果>
佐々木卓夫常務は会見で、これまでの過去最高だった08年3月期当時に比べると「今期のほうが円高に振れており、車も小型車にシフトしている」と事業環境の違いを説明し、今期の最高益見通しには「営業面の努力や原価低減の努力の成果が出てきている」と述べた。
今期の営業利益予想2兆4000億円に対し、円安で1400億円、原価低減で400億円、販売増加で200億円の押し上げ効果がある。
同時に発表した13年4―12月期の連結決算では、営業利益が前年同期に比べ2.2倍の1兆8559億円だった。円安が8000億円プラスに働いたほか、原価低減で2100億円、販売増加で1400億円押し上げた。通期予想に対する進ちょく率は75%。前年同期の通期実績に対する割合は140%だった。
4―12月期の売上高は同17.8%増の19兆1225億円、純利益は同2.3倍の1兆5260億円となった。
東洋証券の星匠アナリストは、今後1ドル=100円程度で推移した場合に第4・四半期(14年1─3月期)の円安効果は「さらに限定的になる」と指摘。本来は収益ドライバーになる販売台数の大幅増加は見込めそうになく、円安による収益押し上げ効果が小さくなれば、「引き続き原価低減に努めていくことと利幅の大きいモデルに注力して車種構成を改善させていくこと」が重要になるとの見方を示した。
<通期販売計画は国内で5万台上乗せ>
14年3月期のグループ世界販売台数は910万台の計画を据え置いた。ただ地域別では見直した。消費税率引き上げ前の駆け込み需要などを背景に国内は228万台(従来は223万台)に上方修正。足元の販売好調を織り込み、中近東を81万台(同79万台)に引き上げた。
一方、北米は260万台(同263万台)に引き下げた。ガソリン価格の安定化に伴い米ビッグスリーが強みとするピックアップトラックに人気が出ているため、乗用車の売れ行きを慎重に見積もった。足元の需要動向を踏まえて欧州、中南米、オセアニア、アフリカも各1万台ずつ従来計画から下方修正。アジアは従来の164万台を維持した。
佐々木常務は、米国の金融緩和縮小に端を発した不安定な金融市場の動きに関しては、「不安定な状況が実体経済に影響を及ぼすのかどうか、一時的なものかどうかは読みづらい状況」としながらも、新興国市場への影響を見極め、何か大きな動きがあれば「迅速に対応する」と語った。
(白木真紀 編集:内田慎一 吉瀬邦彦)
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