上客を「ゆるキャラ」「甘い客」と呼ぶ郵便局員 あなたの親も狙われているかもしれない

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「こんにちは、郵便局でーす!」と声をかけると何の疑いもなくハンコを持って玄関に現れる高齢者も、「甘い客かも」と局員に思われる。郵便局員への信頼度の高さがあからさまにわかるからだ。もしかしたら認知症かな?と思われる高齢者も「甘い客」になりうる。重度の認知症の高齢者から契約を取れば、後々、家族とトラブルになるのは目に見えている。

家の中が散らかっているのも「甘い客」の特徴なのだそうだ。散らかっているから家に上げようとせず、玄関先で済まそうとする。だから「即決」しやすい。逆に、局員を家に上げて食事を振る舞う高齢者も「甘い客」になる可能性が高い。「話し相手になればいくらでも保険を契約してくれそう」(ある局員)だからだ。

郵便局の定額貯金や簡易保険でお金が増えた成功体験を持っているのも「甘い客」の条件だ。「郵便局員の勧める金融商品は儲かるに違いない」と早合点してくれるからだ。

「甘い客」と判断する8つのポイント

局員の話を総合して『週刊東洋経済』は特集「かんぽの闇 金融商品の罠」において郵便局員が訪問先で注目するポイント8項目のチェックシートを作成した。「3つ以上が該当すれば『甘い客』確定。2つなら『甘い客』候補、1つでも用心が必要だ」(別の局員)。

これで「甘い客」が自分の親に当てはまるならば、今すぐ実家で、かんぽの書類がないかをきちんと確認したほうがいい。いくつもの保険証書や契約書が出てくるかもしれない。その中には、子どもの自分がサインや捺印をした覚えのない保険もあるかもしれない。

ただ、保険証書を見つけ郵便局やかんぽ生命に連絡しても、まともに取り合ってくれないだろう。その場合には、金融庁に直接届け出るか、金融ADR(裁判外紛争解決手続き)の裁定審査会に足を運ぶのが賢明だ。

『週刊東洋経済』8月31日号(8月26日発売)の特集は「かんぽの闇 金融商品の罠」です。
山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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