価格は2420万円!究極の「GT-R」は何が違うのか 「GT-R NISMO」2020年モデルの乗り味は?

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実際、今回の新型では、V型6気筒3.8・ツインターボエンジンにレスポンスを向上させる新しいターボチャージャーが採用され、制動力と耐フェード性に優れるうえに軽量化にも貢献するカーボンセラミックブレーキを採用。ボディーパネルにもカーボン素材がふんだんに使われ軽量化を実現し、さらに空力性能の向上、サスペンションの再セッティングを行ない……と、非常に多岐にわたる領域で改良が施されている。一見、驚きの値上げだが、こうして内容を見ていくと、法外だなどとは思えなくなる。

実に“軽やか”なGT-R

ましてや実際に走らせてみれば、その威力を即座に理解できる。アクセル操作に対してエンジンが忠実に反応するから、600psを持て余すことなく自在に引き出すことができる。もちろん速さ自体は圧倒的なだけに簡単なわけではないが、決してじゃじゃ馬ではない。

しかもブレーキがまたすばらしい。制動力は強烈の一言だし、コントロール性も抜群。そのうえ、600psの加速から一転、ハードブレーキングを何度繰り返してもフェードの気配をまったく見せないのである。

コーナリングの一体感も格段に高まっている。簡単に後輪が滑り出すようなことはなく安定しているのに、ステアリング操作に対して忠実によく曲がる。軽さが効いているのだろう。限界域でのグラッと傾くような挙動がなくなり、実に軽やかなのだ。まさかGT-Rに軽やかという言葉を使う日が来るとは……と、なんだか感慨深い気持ちになってしまった。

600psという最高出力は変わらないが、新型GT-R NISMOは間違いなくその速さに磨きをかけている。しかしながら今回、ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムは発表されていない。聞けば、計測自体もしていないのだという。実際には計測はしていても、タイムを狙った走りはしていないということだろうか。

確かに今は、中国だけでなくドイツのメーカーまで、レーシングカーのようなEVを持ち込んで記録した速いタイムを喧伝している時代である。新しいGT-R NISMOがいいラップタイムを出したとしても、世間の注目度は、例えば2007年にニッサンGT-Rがデビューした頃のようには高くないだろう。そもそもタイムだけを狙った改良というわけでもないだけに、敢えて計測しないほうが、かえってメッセージは明快かもしれない。

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