価格は2420万円!究極の「GT-R」は何が違うのか 「GT-R NISMO」2020年モデルの乗り味は?

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そんなGT-Rだが、前述のように登場から12年となれば、現行モデルは今後どうするのか、あるいはそろそろ次期型を……といった話は当然出てくる。未来は、見通せているのだろうか?

「自分が居続ける限りは、あれもやりたいこれもやりたいって言うんですが、一方で人生観として、いつどうなるかわからないという思いはあって。なのでつねにこれが最後だと考えて、2014年も2017年も、今回の2020年も仕上げています」(田村氏)

販売実績は決して悪くないGT-R

驚くべきことにニッサンGT-R、デビューからこれだけ経った今も、セールスは決して低調ではない。デビュー翌年がピークであることは事実だが、ここ5年ほどを見てもグローバル販売台数は平均して3000台近くに達しているのだ。もちろん価格帯などは異なるとは言え、ランボルギーニの年間販売が3モデル合計で約4500台と考えると、決して悪い数字ではないことが解るはずだ。

新型GT-R NISMOの後ろ姿(写真:日産自動車)

しかもこの2020年モデルのGT-R NISMO、すでに今年の分は完売状態だという。価格が発表される前から、すでに熱狂的なファンが列を成していたのである。

これだけのファンがいるGT-Rはすでに1つの“ブランド”。ニッサンは活用しなければ損というものだし、それはまたファンに対する義務と言ってもいいだろう。現行モデルはまだまだ最前線で戦える実力を備えているだけに、今後しばらくは十分に継続できるはず。あるいは一時噂のあったこのプラットフォームを使った高性能SUVというアイデアも、いまだ有効だろう。

個人的には、そうやって現行のハードウェアを当面フルに活用しつつ、その間にじっくりと時代の先を読んだまったく新しい姿のGT-Rの姿を示してくれたら……と、やはり思わずにはいられない。今、まさにどん底のニッサンがまた這い上がってきたときに象徴となるような1台。期待したっていいはずだ。ましてGT-R 50周年の今年である。「検討を始めました」という一文のリリースですら、熱狂を巻き起こせるに違いないと思うのだが……。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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