「うんこミュージアム」作った45歳男の面白人生 阿部晶人「キーワードはMAXうんこカワイイ」
「僕のなかで1つ決めているのは、『迷ったら、面白いほうを選ぶ』ということ。選択する際にどうしてもお金や地位、どちらが大変かなど打算的な部分って生まれると思うんですけど、僕は余計なことを考えずに『どっちが面白いか』でいいと思うんです」
その選択方法は、まるで子どものようにシンプルで直感的だ。阿部さんは人生で岐路に立ったとき、つねに「面白いかどうか」に立ち返ってきたという。そして阿部さんの「面白い」を信じる感性によって、実際に世界剣道選手権は東京で大成功を収める。
「(漫画『バガボンド』の作者)井上雄彦先生にポスターを書いていただいたり、剣道界ではかなり盛り上がったと自負しています。そこでイベントの面白さを感じた。肌で感じる熱狂や人々の感動、それに自分が関わることの達成感……このライブ感をもっと味わいたいと思いました」
世界剣道選手権という、1つの大イベントのディレクションを行ったことで、目の前の人を感動させることに興味が湧いた。それが現在の職場である面白法人カヤックの入社にもつながっているという。
「まずは、面白がる」
『うんこミュージアム』を筆頭に、斬新なアイデアで数々のイベントやコンテンツを成功に導いている面白法人カヤック。会社全体の「まずは、自分たちが面白がろう。」というビジョンは、阿部さんの人生哲学と重なる部分がある。
「カヤックのいいところは、みんな本気で楽しんでいるところ。アイデアが形になって世に出る頃には丸く無難なものになっていることってよくあるけど、カヤックでは『それも通っちゃうの!?』ってぐらい、フィルターがなくて、自由なんです」
とはいえ、アイデアが形になるまでは、当然苦しい時間も存在する。
「うんこミュージアムに関して言うと、『うんこ』っていうキーワードが入っていると面白いように感じてしまうんですが、いかに固定観念を水に流すかを突き詰めました。悩みすぎて巨大なうんこが立ちふさがる夢を、よく見てました(笑)」
阿部さんはアイデアを生み出すとき、どんなことを心がけているのだろうか。
「あんまり気負いすぎないこと。音楽でいえばジャズのように。そのときのグルーヴ感を大事にしています」
40代を迎え、自分の「面白い」を追及できる環境に身を置いた阿部さん。肩肘を張らず自分らしく仕事を楽しんでいるようにみえるが、年齢を重ねるごとに仕事のスタイルにも変化の兆しが見えているという。
「最近は自分よりも周りを活性化させたいと思いますね。昔はもっと自分が自分がって感じだったけど、チームメンバーのよさを引き出すには、どんな言葉をかけたらいいのかを考えるようになった。プレーヤー側もいいけど、いろいろ仕掛けて裏でほくそ笑むのも楽しいなと(笑)」
今後はこれまでのノウハウを利用して、さらなる体験コンテンツを生み出したいという阿部さん。「面白い」を求めて、これからもそのほくそ笑みは続きそうだ。
(藤野ゆり(清談社)=取材・文、小島マサヒロ=写真)
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