鉄道模型大手「KATO」が新工場、何を造るのか 埼玉県内、3万㎡超の広大な土地に建設

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北側の約3万2000㎡は長らく遊休化していたが、15億4500万円でカトーに売却されたのは昨年3月のこと。約1年強かけて開発許可を取得、6月に着工と相成ったらしい。

現場の工事スタッフによれば、新たに建設する工場は来年末頃の竣工予定で、既存2工場を移転集約するのではなく、3つ目の工場になるという。

工事が進行中の場所。かつては養命酒製造の埼玉工場があった(筆者撮影)

倉庫だけでも建築面積が約3600㎡、延べ床面積で8000㎡強ある。工場部分が何階建てになるのかにもよるが、開発登録簿に載っている図面によれば、建築面積は約1万㎡なので、平屋でも1万㎡、倉庫と同じ3階建てなら3万㎡になる。

移転集約でなく3つ目の工場であることが事実なら、既存2工場に加え、その延べ床面積の1.6倍の生産拠点が誕生する。つまり延べ床面積は一気に2.6倍に増える計算になる。

新工場建設の狙いは?

今後の事業計画をぜひとも聞いてみたいと思い、文書で取材を申し込んだが、残念ながらまったく無反応。電話も広報担当につないでもらうことすら、かなわなかった。

ある模型業界関係者は「もし工場を新設するのであれば、考えられるのは海外向け製品の強化ではないか」と指摘し、中国生産のコスト上昇で各国の模型メーカーが苦戦する中、日本製は完成度も高く相対的に有利になるのではないかとの見方を示す。

カトーは今年、ドイツの高速列車「ICE4」のNゲージ製品を発売。日・独・英3言語の特別サイトも開設する力の入れようだ。さらに、最近になってイギリスを走る日立製高速列車「クラス800」の模型製品化も予告した。海外車両の製品企画には積極的だ。

新工場の建設で、鉄道模型のトップメーカーが目指す先はどこだろうか。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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