死傷者1100人超、仕事中の「熱中症」に労災は? 業種別に死傷者数を見ると建設業が最も多い

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たかが熱中症と思う人も少なくありませんが、重症化すると死に至ることもあり、労働現場では、適切な対策が必要です。熱中症対策で注目したいのが、WBGT値(Wet-Bulb Globe Temperature: 暑さ指数)。これは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数です。厚生労働省が発表している労働災害による熱中症で死亡した人の状況をみると、WBGT値が基準値を超えていました。

屋内だからといって、決して甘くみてはいけません。熱中症のリスクを過小評価することなく、それぞれの職場において、WBGT値の測定などにより作業環境を把握したり、身体に大きな負担をかけないような作業指示を行ったりするなど対策が求められます。

日ごろから健康管理を適切に実施していない例も

厚生労働省が発表している熱中症により死亡したケースでは、商業施設主催のイベント会場において、露店での飲食物の販売に伴う接客業務に従事していた20代(小売業)の労働者が片付け作業を行っていた際に意識を失い、救急搬送されたものの死亡した事案があります。また、試験会場周辺の道路において、違法駐車防止及び道案内のために警備業務に従事していた40代の労働者が倒れているところを通行人が発見。病院へ搬送されたものの死亡と診断されたケースもあります。

屋外ばかりではありません。事業場内で作業に従事していた40代の労働者(電気機械器具製造業)が、午後4時ごろに倒れているところを発見。救急搬送されたものの死亡が確認された事案もあります。ほかにも労災認定を受けたケースでは、重篤な熱中症の兆候が見られた労働者の救急搬送が遅れた事例や、日ごろから健康診断や体調把握などの健康管理を適切に実施していない事例などが見られました。

労働者災害補償保険(労災保険)とは、労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡された場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行うものです。

「暑熱な場所における業務による熱中症」は、業務上疾病の範囲に含まれており、使用者の指揮下で業務に従事し(業務遂行性)、業務と発症との間に一定の因果関係がある(業務起因性)と認められた場合などに、労災保険の対象となります。

また、夏季における屋外労働者の熱中症が業務上疾病に該当するか否かについては、「作業環境、労働時間、作業内容、本人の身体の状況及び被服の状況その他作業場の温湿度等の総合的判断により決定されるべきものである」との通達も出ています。

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