架線あるのに…「電車に乗れない」電化区間10選 走るのはディーゼル車ばかりでもったいない

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電化区間とは言え、当該線区のためではなく、車両基地への入出場のために電化されている場合がある。

9)境線の米子―後藤間

境線の米子―後藤間2.2kmが電化されているけれど、これは富士見町―後藤にある後藤総合車両所への回送列車を運転するためのものであり、境線は全区間ディーゼルカーで運転される。したがって、この区間で電車に乗ることはまったくない。

宗谷本線にも電化区間がある

10)宗谷本線の旭川―北旭川間

日本最北端の路線である宗谷本線が、ごく一部区間とは言え電化されていると聞いて驚く人がいるかもしれない。

宗谷本線を走る回送電車(筆者撮影)

起点となる旭川から旭川四条駅、新旭川駅を経て、次の永山駅との間にある貨物駅の北旭川駅に隣接する旭川運転所への車両の回送用として複線電化されているのだ。

函館本線で使用する特急や普通列車用の電車が旭川からここまで回送される。旭川四条駅付近は高架で複線電化となっていて、宗谷本線らしからぬ鉄道施設となっている。ただし、宗谷本線の列車はすべてディーゼルカーであり、電化の恩恵を受けてはいない。

このほか、JR鹿島線の鹿島神宮―鹿島サッカースタジアム間も電化されてはいるけれど貨物列車や臨時列車用であり、普段走る鹿島臨海鉄道の列車はすべてディーゼルカーである。また、鹿島サッカースタジアム駅は臨時駅で、サッカーの試合があるときだけ列車が停車する。

以上、電化区間なのに電車に乗ることがレアであったり不可能であるという、不思議な路線をまとめてみた。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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