アベノミクス相場が「8月に終わる」危険性 日経平均上昇維持の「ハードル」は高くなる

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これまでも、岩盤のようなサポート機能を発揮してきた節目水準がいくつも重なっているだけに、日経平均株価の2万円水準は単なる心理的節目ではないと考える。だが、ドナルド・トランプ、アメリカ大統領のツイッターひとつで世界が大きく揺れるほど、今は不確実性が高まっている。

一方、アメリカでは米連邦公開市場委員会(FOMC)での数回にわたる利下げ観測が台頭している。世界的な低金利環境が続く中、イールドハンティング(利回り追求)の動きがさらに活発化しそうだが、株式市場でも保守的なバリュー指標である配当利回りの魅力が一段と高まりそうだ。

日経平均株価の月別騰落率(1984年以降)では、8月が-0.71%、9月は-0.99%と、年間でもそれぞれワースト2位と1位の低調なパフォーマンスで知られる。

需給面で見ても、海外投資家の夏季休暇前のポジション調整の整理が8月第1週に行われ、その後の相場環境によっては付随した仕掛け的な売りが1カ月程度は続くケースが多く、今年もまさにこのパターンが踏襲された格好となった。売買代金が薄商いとなる中で需給バランスは崩れがちだが、配当利回り銘柄にとっては、投資妙味を高める機会ともなる。

直近の東証1部の予想配当利回りと長期金利の格差は、過去最大級となっている。財務体質が堅固で、配当性向が相対的に低い日本企業は、海外投資家からも魅力的な投資対象となるはずだ。

連続増配をしている高配当銘柄に妙味

ここで注意すべきことは、見かけの配当利回りの高さに目を奪われないことだ。今やマーケットでは表面上予想配当利回りが5%超の銘柄も、探せば簡単に見つけることができる。しかし、中には業績悪化や財務内容の悪化で株価下落を招き、結果的に高配当利回りでなくなる銘柄もあるからだ。

最近は単なる高配当利回り銘柄よりも、安定成長を続ける連続増配銘柄の人気が高い。景気に左右されにくいディフェンシブ性があることに加え、貿易摩擦の影響を受けにくい内需系銘柄であればなおさらだ。

配当は一度上げると投資家は将来もその水準の配分を求めがちだ。市場の期待に応えて増配を続ける企業は、景気に左右されずに業績が安定成長し、財務も健全なケースが多い。増益見込みで3期以上の連続増配が見込まれる上場企業は200社以上あるが、うち半数が予想配当利回り3%以上の高配当利回りだ。

増配を実施してきた企業の中から4-6月期の好決算組を投資の中心に据えれば、配当だけでなく値上がり益も期待できる。また現在の配当利回りがそれほど高くない企業であっても、増配が続くことでいずれ簿価ベースの配当利回りは相当高いものとなるはずだ。

こうした魅力的な配当利回り銘柄であれば、日経平均株価が下値を探る局面ではもちろん、上値を試す局面でも十分な投資成果が期待できる。選別物色が令和の配当利回り戦略だ。

宇野沢 茂樹 NSN株式会社 アナリスト

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うのさわ しげき / Shigeki Unosawa

中央大学法学部卒業。国内証券でデリバティブ業務に従事。投資顧問会社、投資情報会社フィスコを経て2010年9月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

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