スズキ「4代目ジムニー」、発売1年後の通信簿

見えてきた顧客層の特徴と人気の理由とは

スズキが年間100万台という販売規模に回復した原動力の1つが、ジムニーであった。そのジムニーは、まさしくアメリカのジープなどと遜色ない悪路走破性を備えており、軽といえども本格的な実力に対し消費者の信頼は確固たるものとなった。これに対抗し、三菱自からパジェロミニが1994年に誕生するが、2012年には生産を終了している。

1990年前後の日本はバブル経済期であり、ジムニーもパジェロミニも販売を拡大した。だが、ジムニーといえどもそれ以後はそれほど販売台数が多かったわけではない。それでも、ほぼ安定して年間1万台を超える販売の数字は維持し、それが4代目となる新型ジムニーの年間販売目標である1万5000台を導き出したのだろう。

それは国内市場に限った話であり、海外を含めると新型が出る前に3万台前後は維持しており、その数字もジムニーが長寿を保つことに貢献してきたに違いない。海外においても、ことに山岳地帯では道幅が限られ、世界で唯一の軽自動車規格という特殊な車体寸法が、道を選ばず自在に前進することのできるクルマへの期待や逞しさを覚えさせたに違いない。

豊富な車体カラー、人気は緑と黒

新型ジムニーの人気の理由のいちばんが、外観の造形であることの意味は、そうしたジムニーの愛好家たち、また新規の顧客にとっても重要な意味を持っている。そもそも、軽自動車のジープを作るという鈴木修会長の発想から生まれたジムニーではあったが、初代以降、世代を経るごとにその姿はジープらしさが失われていった。

それでも2代目までは、まだほろを用いる車種が存在したが、3代目ではいわゆるパジェロ的に鋼板の車体のみの設定となり、外観の造形もより乗用車的になった。しかしそれも、1990年代に起きた、当時のいすゞビッグホーンや三菱パジェロ的なものを追いかけた結果であり、その時代には最適な造形であったはずだ。

そこから20年近くを経過する間に、軽自動車でありながら本格的4輪駆動性能を備えるジムニーの個性が見えにくくなったのも事実だろう。そこを、性能のみならず外観的にも原点回帰したのが新型ジムニーといえる。

4代目ジムニーの車内(撮影:尾形文繁)

さらには車体色を豊富にそろえる中、カーキ色や黒など本格派の色もそろえた。街でお洒落に乗りたい人へも、未舗装の悪路を目指す人にも、自らの嗜好を示すことのできる車体色を用意した。

販売台数における車体色の人気は、1~2位が緑と黒ではあるが、3位にアイボリーの明るい色が選ばれている。訴求色となった新色の黄色はベスト3には入らなかったが、それでもその印象的な色遣いは人々の目をジムニーに向けさせる点で効果があったはずだ。

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