「ホルムズ海峡問題」に巻き込まれた日本の憂鬱 有志連合に参加するか否かという踏み絵

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イラン精鋭部隊「革命防衛隊」は7月20日、黒い覆面姿で武装した隊員が、ヘリコプターからステナ・インペロに降下する動画を公表。先にイギリス海軍フリゲート艦は革命防衛隊によるタンカー拿捕の試みを阻止していたが、波状的なイランの襲撃を防げず、度重なる予算削減で軍事力が低下するイギリスの凋落ぶりをさらけ出す結果となった。

1980~88年のイラン・イラク戦争の際には、両国によるタンカーへの無差別攻撃や報復で約400隻の船舶が被弾する「タンカー戦争」が起きており、ホルムズ海峡周辺はその再来を想起させるような緊張状態にある。

今回のホルムズ海峡をめぐる危機が起きる前、イランはたびたび有事の際のホルムズ海峡の封鎖を警告。革命防衛隊のタンシリ海軍司令官は4月、「われわれがその利用を妨げられれば、封鎖する」と述べるなどして国際社会を脅していたが、その恫喝が虚勢ではなかったことをイランは無人機撃墜やタンカー拿捕で証明した。

イラン脅威論台頭も

イランは軍事力でアメリカに比べて圧倒的に劣るものの、正規軍対ゲリラ型組織という軍事力の大きく異なる主体間の「非対称戦争」を得意とする革命防衛隊がその実力を誇示する。そもそもホルムズ海峡やイランに近いオマーン湾は、革命防衛隊の「縄張り」である。武装した小型高速艇や無人機、イギリスのタンカー拿捕のようにヘリコプターを使い、場所や時間もイラン側が自由に選ぶことで、多少の警備強化では防ぐのが困難だ。

イランは、内戦が続くアラビア半島南西端のイエメンに親イランのイスラム教シーア派系フーシ派を擁しており、イエメンに面する別の海上輸送の大動脈であるバブ・エル・マンデブ海峡にも間接的に脅威を与えることができる。このほか、イスラエルの脅威となっているレバノンのシーア派武装組織ヒズボラや、イラク駐留米軍を脅かすシーア系諸勢力を従えており、有事の際に使える手駒は中東各地に広がっている。

イランがホルムズ海峡をめぐる攻防で、ゲリラ的な手法で優位に立っていることは疑いようがない。だが、この危険なゲームの結末がイランを利するとは限らない。

緊張の発端は、2015年7月にイランと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国が苦労してまとめたイラン核合意から、アメリカが一方的に離脱したことだった。「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領は、オマバ政権下の合意や政策をことごとく覆しており、その孤立主義的な政策が批判の対象となっている。

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