巧妙化するサイバー攻撃に備えよ! シマンテック日本法人社長に聞く

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――最近ではモノのインターネット(IoT)などと言われて、セキュリティで守らなければならないものが増えている。

家電製品や自動車にさまざまなソフトウエアが組み込まれ、ネットワークに接続されているが、これによってセキュリティシステムが守らなければならない領域は幾何級数的に増えている。いろいろなものがネットにつながり、しかも自動的にアップデートされる仕組みになっている。ここにハッキングされると非常に危険だ。

リスクに対して安全性を確保することは、われわれにとって重要なミッションだが、一方で利便性を損なわないことも重要だ。これまで、安全性確保のためには、パスワードを毎月変更する、ID認証ごとに異なったパスワードを使うことが推奨されてきた。だが、ネットバンキングやネット通販といったサービスが多様化し、それに加えてPC、タブレット、スマートフォンと、複数の機器を使う環境となった現状では、毎月変更するパスワードをすべて覚えることは不可能だ。

覚えきれない結果、手元にメモする、クッキーに残す、パスワードを使いまわすなど、安全性確保とは逆行する状況に陥っている。こういった不便さを解消する新たなしくみを現在検討中で、近々公表の予定だ。2011年に行ったベリサイン買収の効果だ。

研究開発に集中

――守るべきものが増え、セキュリティサービスのマーケット自体も、今後5年で倍増近い伸びが見込まれています。  

人材の確保は重要な課題だが、われわれが過去に高い経験値を持つ人材を育ててきたという優位性がある。セキュリティベンダー大手として、ハッカーの"挑戦"を受けることも多いが、それによって知見を高め、分析エンジンのパワーアップやロジックの改善を進める手がかりにもなる。

われわれは、GEから来たCEOのもと、2012年7月から、シマンテック4.0に則って改革を行なっている。手を広げ過ぎたサービスを集約し、まとまったソリューションとして提供する仕組みづくりなど、本来やるべきことに集中する。なかでも研究開発については、従来の売上高の14%という目安を上回る水準で行っていくことになるだろう。  

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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