マイクロソフトが「週休3日制」を導入するわけ 「ワークライフチョイス」の時代がやってきた

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――週休3日制の試験導入には、「よく学ぶ」という狙いも掲げています。

週休3日制を「単に休みが増えてよかった」と捉えられるだけではいけないと考えている。もちろん金曜日を休息に充てるのもいいが、仕事以外の経験を通じた自己成長、または私生活の充実、社会貢献などにも活かせるよう、社員支援プログラムを用意している。

例えば自己成長であれば、取引先の企業に協力してもらうなどして、他企業で職場体験をしたり、私生活であれば家族旅行の費用を補助したりする。社会貢献活動については、例えば教職員や高齢者向けのプログラミング研修に参加するといったメニューを用意している。

実践したいアイデアを募集して、認められたら10万円までの資金を援助する。こうした社員支援プログラムも通じて、ワークライフチョイスの考え方を浸透させていきたい。

働き方改革の「ネクストステージ」

――過去の働き方改革とは何が違うのですか。

これまでも働き方改革を実施してきたが、今行っているのは働き方改革の「ネクストステージ」という位置づけだ。

わが社が本格的に働き方改革を経営の中核に置いたのは、2011年のこと。当時、都内に分散していたオフィスを、現在の品川の本社ビルに集約したことがきっかけとなった。ちょうど東日本大震災の発生と時期が重なり、テレワークを導入した。

その後、2016年に就業規則を変更し、勤務場所や勤務時間の制約を取っ払い、人事部門や上司に申請しなくても、自分の判断でフレキシブルな働き方ができるように制度化した。2017年秋からは「休み方改革」として、男性社員が有給の育児休暇を合計6週間取得できるようにし、有給の介護・看護休暇を計20日間取得できるようにもした。

ただ、これは社内の大勢を占めるホワイトカラー向けの働き方改革だ。働き方改革の次の段階では、社員全員が個々人にとっていちばんいい働き方を選べるようにしたい。それが、ワークライフチョイスの考え方だ。「週休3日制」の試験導入で、働き方改革をネクストステージに移していきたい。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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