グローバル化が進む中、日本企業は世界中に現地法人を設立している。日系現地法人は増加傾向にあるが、必ずしもすべての国で増えているわけではない。進出国の経済が不安定な状態であったり、国際的な問題があったりすると現地法人を撤退する企業も出てくる。
東洋経済オンラインでは日本企業の海外進出先を国ごとに集計、近年どの国に多く進出したのか、または撤退したのかを独自に調査した。
ランキングは「海外進出企業データ」の2019年版と2015年版に掲載しているデータを用いて作成した。国ごとに2015年版の現地法人数合計と2019年版の現地法人数合計を比較し、増加率が高い順に並べた。
ランキングは、アンケート回答企業が対象となるため、一部企業は捕捉できていないものの、傾向を掴めるはずだ。2015年版のアンケートは2014年12月末までに、2019年版のアンケートは2018年12月末までに回答を得た。なお、2015年版時点の現地法人数が少ないために外れ値となることを避ける目的で、2015年の現地法人が15社以上の国に絞り計算している。
10位までは南・東南アジアが台頭
1位は2011年のテインセイン大統領就任により民政移管を果たしたミャンマーで、増加率は136%に上った。ミャンマー政府の経済特区法の制定、税制優遇措置等の政策により、アジア最後のフロンティアとして注目され、海外企業の投資が増加した。その流れを受けて日系企業も進出したと考えられる。主な日本の進出企業には、千代田化工建設、日立産機システム、NECネッツエスアイや電力、通信等の基礎的インフラを整える会社がある。
ミャンマー進出の熱が落ち着いた今、発展のしがらみとなっている電力や道路などの社会インフラ基盤の不備をいかに整えていくかが、これからの成長の鍵になりそうだ。
続く2位は、2009年に26年間に亘る内戦を終結したスリランカで、90%近く増加した。内戦終結後は復興需要や治安改善による観光客数の増加で高い経済成長をしていた。
しかし、数年で復興需要が落ち着いたことや2016年のかんばつ、洪水被害によりGDPの伸びは緩やかになっている。対外債務の多さは懸念材料だが、IMFの融資受け入れに際し行った経済構造改革により、財政赤字は縮小したため見通しは明るそうだ。