「エヴァ」新作の冒頭10分をあえて上映した背景 大規模イベント「0706作戦」で一部シーン公開
さらにオープンスペースによる露出効果もあった。日比谷会場では、東京ミッドタウン日比谷周辺を行き来する来場客が、(警備員の指示によりその場に立ち止まることはできなかったものの)映像を一瞬だけでも観ることは可能だった。何も知らなかった通行人たちが、広場を横切るたびに「何これ?」と言いながらその場を通り過ぎていった姿が印象的だった。こうした通行人の何人かがSNS上にコメントして、その模様がさらに拡散された可能性は高い。
今回の冒頭映像を観ることができるLINE LIVEの中継映像も7月10日まで観ることができた。そもそも庵野秀明率いる制作会社「カラー」は権利関係、情報統制に厳しい会社だ。
映画宣伝の手法が変わりつつある
昨年7月にも、劇場で公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』特報の盗撮映像がインターネット上にアップロードされたことに対して、厳しく対処していくと発表したことは記憶に新しい。それだけに見せるところと、見せないところをしっかりとコントロールした今回のプロモーションは斬新の一言につきるだろう。
新海誠監督の最新作『天気の子』がマスコミ向けの試写を行わないことを宣言するなど、映画の宣伝は、過渡期に入っている。それだけに本作の宣伝戦略は1つのモデルケースとして注目に値する。
実際、今回の映画の冒頭部分を先行公開したということはSNS上などで大きな話題を集めた。SNS上では、前作の『Q』からおよそ7年間の空白を埋めるように、大勢のファンが今回の冒頭映像の考察、予想などを行っている。
それはあたかも『スター・ウォーズ』ファンが、次の新作を観るまでにいろいろな予想、妄想を頭に張り巡らせてから、新作鑑賞に挑むということに似たものがあるようにも見える。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズはこれまで『序』が興収20億円、『破』が興収40億円、『Q』が興収53億円と右肩上がりに動員を伸ばしてきた。とくに今回は東宝・東映・カラーの3社共同配給となり、TOHOシネマズをはじめとする興行網も後ろ盾となることだろう。
おそらく東宝が配給し、興収82.5億円を記録した『シン・ゴジラ』並みか、もしくはそれ以上の興収も期待されているハズだ。情報を絶妙にコントロールしてみせる本作が、今後、どのような宣伝戦略を展開していくのか楽しみだ。
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