東京都知事選の争点は「原発」なのか? 東京直結・生活直結のテーマが置き去り

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原発の是非以外の政策が知りたい

しかし、こんなことを考えていたときに、友人の女性(Nao 70 Kondoさん、18歳)がツイッターでこんなことをつぶやきました。

「なぜ“東京”の選挙なのに、原発に固執しているのかわかんない。原発問題という皮を被って注目を集めているだけで 『本当はメインこっちだわ☆~(ゝ。∂)』というのではないの?わからん(*_*)」

なるほど、これは「都民」の視線だ。ボクは最近、東京にいるけど都民じゃないし、選挙権もないから、かなり上から見下ろした見方をしていたのかもしれない。この疑問に対して、どう答えるか?

ボクはとりあえずはこう答えてみた。

「東京都知事は首長だけど影響力はレベルが違う。国家の懸案である原発問題がメインになるのは、違和感ないみたい。原発問題が『クサイものには蓋』状態になってる今、都知事選でテーマにする以外に方策なしという判断かな。細川さんの原発以外の政策の発表がないと何とも言えぬ」

政策というのは、有権者に提示する「誓約」である前に、まず候補者自身の「意思」なのです。つまり、厳密には、政策は「有権者のためのもの」はなく、「政治家がやりたいこと」。それが有権者と一致した分だけ、票を獲得できるわけです。

それに対して、友人から返信が来た。

「そうなんだ。でも、言葉面だけ並べて、具体性がわからないのでなんとも吟味しがたい気がする。そもそも自分で論理的に吟味している有権者はどれだけいるのかという……。オリンピック政策など、東京に直結する政策も知りたいよー」

これは、非常にごもっとも。ほかの政策が置き去りにされるのはよくありません。原発問題を取り上げることは悪くないですが、それがメインテーマになって、生活直結・東京直結のテーマが置き去りにされていくのは間違っています。

今の政治システムは「ディストピア」

国民は、政治に対して自由に発言ができるし、多数決とはいえ、自分の好きな候補者に投票できますが、そもそも選択肢にないものを選ぶことはできません。政治家が考えたことに対してしか判断できないのです。

一見、自由に見えますが、実は強く制限されている世界のことを「ディストピア」といったりします。今の政治システムは、小規模なディストピアではないでしょうか。もしかしたら、今の世界は「とても広い牢屋」なのかもしれない。しかし、そのことを意識している人はそんなにはいません。ネットでちょっとした情報通になっている人たちは別として、普通の人々にとって、世界は無限に続く草原のようなものと感じられているのかもしれません。

ぜひ都知事選の候補者には、原発問題だけでなく、すべての問題を平等に取り上げていただきたいものです。

都知事選の投票日は2月9日、即日開票される。

Tehu 慶応義塾大学1年生・デジタルクリエーター

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てふ / Tehu

1995年、神戸市生まれ。灘中学校、灘高校を経て現在、慶応義塾大学1年生。中学生の時にプログラミングに興味を持ち、2009年にiPhoneアプリ「健康計算機」を公開。ダウンロード数が無料アプリで世界第3位となり、話題となる。以後、「放射能計算機」、劇団ひとり監修の「僕の余生。」などのアプリ制作を続ける。2010年からUstreamで「Tehuのオールナイトニホン」を放送開始。米アップルの新製品記者発表を同時通訳する番組を定期的に放送し、人気を集める。2013年、グーグル日本法人元会長の村上憲郎氏との共著『スーパーIT高校生“Tehu”と考える 創造力のつくり方』(角川書店)を発売。現在、クリエーターとして多くの企業のプロジェクトに参加するほか、講演や雑誌連載など多岐にわたって活動している。中国籍で本名は張 惺(ちょう・さとる)。日本語、英語、中国語を操る。

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