――参議院選挙が目前です。
立民の枝野代表はパリテ(編集部注:候補者数など政治における男女均等)が争点だと言う。子どもの学校のPTA会長をやっていて驚くのが、ママたちの能力の高さ。女性が政治の半分を占めれば、世の中、劇的に変わります。その意味でまったく正しい。
ただ、「パリテ!」とか「脱原発! 安倍政治を許さない!」と叫んで、参院選の32ある1人区で25勝できるかというと、できませんよ。パリテが響く人は、それがなくても立民に投票する人です。仕事上の取材で最近よく地方に行きますが、そこで長年自民党に投票している人に話を聞くと、彼らの関心は「正しさ」にはない。不安です。
立場が違っても信頼し合う関係がない
――不安?
1人区はほとんどが田舎。東京の大学出て、大企業に勤め、親のこともあって帰郷した40代。ずっと自民支持、気がつけば商店街は寂れ、このままじゃ地域がダメになるのでは、という不安。
ここで「大丈夫ですよ」と語りかけるのが政治です。正しいことをいくら言われても安心はできない。もっと銭金の話をして、こうした人の7〜8%に野党統一候補に賭けてみようと思わせないといけない。
――「経済は社会の下部構造」と唱えた人に近い割に経済を語らない。
戦後、自民党が所得倍増だなんだと言って、企業を通じた所得再分配に成功し、さらに持ち家政策や断続的所得減税で豊かさの底上げがなされた。
野党も貢献しているが、経済政策での成功体験を記憶していないのでしょう。だから、「消費増税反対、法人増税を」なんて言う。法人税率が上がるとなったら大企業は租税回避に動きます。少子化は教育充実のチャンス、消費増税分は国債償還ではなく、特定財源にして教育につぎ込む、くらい言わなきゃ。田中角栄が日陰の人たちに日を当てたように。
――経験も含めて人材の問題?
政策・即戦力、「看板」が幅を利かすようになって、人材は与野党問わず多様性がなくなってきた。懐かしい社会党の幹部、久保亘は、苦労人で県教組から参議院議員になり、誠実な人柄ゆえ自民党から共産党まで「くぼたん」と呼んで慕う人が多かった。立場は違っても信頼し合う関係。今は、全体的にガキになっている。
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