スマホ4000万台減でもファーウェイ制裁甘い? 売り上げ横ばい予想で遠のく過度な悲観論

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17日の対談で任氏は「これからの2年間で減産することになり、売上高は300億ドル(約3兆3000億円)減少し、今年と来年の売上高はそれぞれ1000億ドル(約11兆1000億円)程度になるだろう」と述べ、厳しい状況であることを認めた。ブルームバーグも同日、ファーウェイの営業・マーケティング担当マネジャーの話として、中国以外の海外向けスマホ出荷台数が前年比40~60%(4000万~6000万台)減少すると報道した。

「アメリカのファーウェイをたたこうとする決意がこんなに強いとは思ってもいなかった。アメリカの制裁によって多くの国際組織への参加が阻まれ、大学と協力できなくなり、あらゆるアメリカの製品や技術を使用できなくなった」(任氏)。アメリカによる制裁はファーウェイにとって想定以上の打撃となっているように見える。

ファーウェイへの打撃は「想定以下」

しかしその一方で、ファーウェイへの打撃が「想定以下だった」と落胆する声も出ている。

任氏は6月17日の対談で「こんな厳しいことになるとは」と語った。写真は2019年1月にファーウェイが開催したラウンドテーブル(撮影:梅谷秀司)

ファーウェイのライバルである中国系スマホメーカーの日本法人幹部は「(ファーウェイは)生産停止にまで追い込まれると思っていた。しかし、思った以上に打撃を受けていない」と明かす。念頭にあったのは昨年、同様の制裁措置を受けた中国通信機器大手ZTE(中興通訊)のケースだ。

アメリカ商務省は2016年からZTEに対して輸出規制措置を発動していたが、2018年4月にアメリカ企業との取引を7年間禁止する追加制裁を発動。クアルコムなどから部品を調達していたZTEは、またたく間に大半の製品が生産停止に追い込まれた。アメリカ政府への罰金の支払いに応じたことで制裁は解除され、2018年7月から業務を全面再開させたが、2018年は69億元(約1100億円)の赤字に陥った。

ファーウェイもZTEと同様にアメリカ企業から部品を調達しており、その規模は1兆円以上になる。アメリカ商務省元次官補のケビン・ウルフ氏は週刊東洋経済の取材に対し、数千億円規模の取引に影響が出ることから「エンティティ・リスト(輸出規制リスト)による禁輸措置の影響は『核爆弾』に等しい」と語っている。

スマホの通信機能に欠かせない半導体技術はクアルコムなどアメリカの企業に頼っているという情報もあり、ファーウェイも生産が滞るのではないかという声が出ていた。

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