「会社でキレる人」が生産性を下げる科学的根拠 日本人は「時代遅れの考え」にとらわれている

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確かにマキャベリの言うことは長い間、真理であった。そういう時代が太古の昔からつい最近まで、長い長い間、続いてきたのだから、いまでもマキャベリの言うとおりだと思う人がいても不思議ではない。しかし、現代社会ではもう、過去の常識は通用しなくなっている。

マキャベリのようなやり方はもう古い。現代社会において大切なのは「礼節(Civility)」だと述べるのが、ここで紹介する本、『Think CIVILITY』だ。

20年間の研究の成果

本書で著者は、無礼な人間がいかに企業の業績に悪い影響を及ぼすかを述べている。また反対に皆が礼節ある態度を取ると、企業の業績が向上するとも言っている。これは単に著者の個人的な体験に基づく意見ではない。

著者は、長年にわたり、多数の企業を対象に綿密な調査を続けてきたからだ。それで礼節と企業業績に強い関係があることを確かめた。

「無礼さ」はウイルスのようなものだと著者は言う。例えば、ある企業でAという人がBという人に対して無礼な態度を取ったとする。Bは当然、精神的にダメージを受ける。仮にその後、普段どおりに仕事を続けることができたとしても、ダメージを克服するために普段は必要ではない余分なエネルギーを費やすことになる。

それだけではない。ストレスをためたBは、自分の周囲の人たちに無礼な態度を取りやすくなる。すると、周囲の人たちもダメージを受ける。同じ職場の人たち、家族や友人、皆がダメージを受け、ストレスをためてまた、その周囲の人たちに対して無礼な態度を取る……。

こういう負の連鎖が起きるのである。負の連鎖に取り込まれた人たちは、ストレスに対処するために余分なエネルギーを費やし、すべき仕事が思うように進まなくなってしまうだろう。

社員のパフォーマンスが低下すれば、企業の業績は低下するに違いない。だが、それだけではない。無礼さはほかの面でも業績に悪影響を及ぼす。社員の多くが互いに対して無礼な、無礼が「文化」になっている企業は顧客から敬遠されやすい。本書には、それを確かめた実験の例が紹介される。

同じ企業の社員同士が礼節ある態度で互いに接しているのを見た場合と、反対に無礼な態度で接しているのを見た場合とで、その企業の商品を買いたい人の割合がどう変わるかを確かめた実験だ。

顧客は無礼な態度を取られたのが自分ではなくても、「この会社では無礼が文化になっている」と感じると、その会社の商品を買いたくなくなるらしい。その会社と関わることすらしたくないと思う人も多いようだ。

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