ボルボが「交通死亡事故ゼロ」にこだわる理由 2021年モデルからは180km/hまでの速度制限

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その一環として立ち上げられたのが「E.V.A.プロジェクト」である。これは、ボルボが独自の事故調査や、その他の研究、調査によって蓄積してきた安全に関する知識が集約されたデジタルライブラリーを初公開し、誰でも容易に利用できるようにするというもの。この「誰でも」にはほかの自動車メーカー、サプライヤーなども含まれ、むしろ「利用を推奨したい」という。

3点式シートベルトの特許開放から60周年という節目を祝う意味も含まれたこのプロジェクトには、実はボルボの有するそのときと同じような危機感も込められている。それは自動車の安全性の開発に関する知見の差は、依然として存在するということだ。

実はE.V.A.とは“Equal Vehicle for All”の略である。ボルボはこの安全に関する知見を共有することで、自動車全体の安全性の底上げにつなげようと考えている。3点式シートベルトがそうだったように、結局はそれが自動車業界全体の発展につながり、自社の利益としても返ってくることを、彼らはよく理解しているのだ。

180km/hまでの速度制限

さらにボルボはこの3月に、E.V.A.プロジェクトの立ち上げに先んじて、もう1つ衝撃的な発表を行っている。2020年以降、つまり2021年モデルからのすべてのボルボ車に180km/hまでの速度制限を導入するというのである。

ボルボ・カーズのホーカン・サムエルソン社長兼CEOは「速度を制限することですべてを解決できるわけではありませんが、たとえ1つの命でも救うことができれば、それは価値があるといえます」というコメントを出している。

アクティブ・パッシブ両面でどれだけセーフティ技術を磨いても、高すぎる速度域では、十分に対処するのは難しい。もちろん各国に速度制限は設けられているが、それでも依然としてスピードの出しすぎは重大事故の大きな原因となっている。一例として、アメリカのNHTSA(運輸省高速道路交通安全局)によれば、アメリカの全交通死亡事故数の25%が速度超過によるものだという。

次ページドライバーモニタリングカメラを搭載へ
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事