安倍政権に「反原発選挙」リスク

細川都知事なら円安副作用も

国家戦略特区への取り組み姿勢に注目

アベノミクスが今年、力を入れなければならない成長戦略にとっても、細川氏の立候補により不安が生まれている。

JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は「東京は国家戦略特区の有力候補であり、成長戦略の受け皿への期待が高い。猪瀬直樹前知事はかなり前向きに取り組んでいた」と指摘する。

実際、東京都の提案では法人実効税率も都税相当分を全額免除し、20%という低い税率にすることを盛り込んでいる。菅野氏は「細川氏が都知事になった場合に、どの程度推進するのか、わからないだけに不安がある」と見ている。

同様に会田氏も「東京での国家戦略特区の推進が、成長戦略のシンボルとして海外投資家へのアピールになる」とみているが、「細川元首相が提唱する脱原発に都民の支持が集まれば、東京オリンピック成功・国家戦略特区による成長戦略・社会保障の充実(舛添元厚生相)という安倍首相の経済政策の推進が、滞ってしまうリスクとなる」と懸念を示す。

高まる日銀への圧力、エネルギー輸入増が足かせのリスクも

細川氏勝利により安倍政権への信認が低下した場合、金融市場において外為や株式、金利などに何らかの影響が出ると予想される。市場の変化がアベノミクスの推進力に対し、逆風として作用するパターンも出てきそうだ。

その1つが、日銀の追加緩和と円安加速の問題だ。BOJウォッチャーの中には、消費増税の景気下押し効果を相殺するため、政府が日銀に働きかけ、その結果として追加緩和が決定される展開を予想する声がある。

菅野氏は「細川都知事が誕生すれば、アベノミクスへの信認低下を回避するため、安倍政権が日銀への圧力を強める方向に動くだろう」と見ている。

とはいえ、日銀がさらなる金融緩和に動いても、安倍政権への高い信頼感によって続いてきた円安や株高といった底堅さは、期待できないとみている。「長期投資家は成長戦略への見方にはためらいがあり、短期筋による追加緩和期待に振り回される展開となっているに過ぎない。底の浅いマーケット状況なので、円安期待はいつひっくり返るかわからない」と予想している。

また、細川氏の脱原発政策は、外的環境次第では金融緩和や円安政策の足かせになりかねない。河野氏は「中期的に原発再稼動が遅れる場合、東電の経営計画に一定の影響を与える可能性は否定できない。そうした場合、エネルギーコストの高止まりにより、円安につながることの多い日銀のバランスシート拡大が制約される可能性がある。長期金利上昇懸念にもつながる」と読む。

脱原発が都知事選の最大のテーマとしてふさわしいかどうかといった正面からの議論とは別に、思わぬ角度から脱原発が安倍政権の足をすくうリスクもはらんでいる。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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