相手を動かす!説得力抜群のグラフを作るコツ 数字が苦手な人にも伝わりやすくなる

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商品A、Bを、先ほどの図2同様にエリアごとの平均の比較で表示し、伝えたい内容をグラフの上部にタイトルとして書いています。今回のケースでは、商品Aのエリアごとの差異は小さいのですが、商品Bの売り上げの差異が大きいのがわかります。

この内容を強調するために、いちばん売れている組織と売れていない組織の平均値の差を「+60万円〜▲30万円」と強調しています。これにより、エリアごとの差異の問題は、商品B側にあるということを伝えられます。

比較対象をあえて作ることで、わかりやすくなる

その下の図4は、基本企画とオプション企画のどちらに差異の原因があるのかを記しています。念のために、先ほど図3で問題がないと確認した商品Aも比較対象としています。これによると商品Bの問題は、基本企画の売り上げの差異が原因であることがわかりました。

さらに図では、商品Bについて、ベテランと若手(ジュニア)での差異を分析しています。同じく伝えたいことを強調しています。このグラフを見ると、どうやらベテラン、若手の問題ではなく、関西とその他のエリアで商品Bの基本企画の営業1人当たりの売り上げが低いことが原因であることがわかってきました。

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ここまで分析できればしめたものです。上司に対して、関西とその他のエリアの営業に対して商品Bの基礎知識と販促のポイントについての勉強会を実施することを解決策として提案できそうです。

ただし、商品全体の問題、つまり営業側だけではなく商品企画側の問題である可能性が残っています。その場合も、この分析データを商品企画部門に提示することで協力も得やすくなると想定できます。結果、商品企画担当に勉強会の講師を依頼することも可能になるでしょう。

このように、自分はわかっていても、相手がそのとおりに理解してくれるとは限らない情報は、よりわかりやすく工夫することによって、認識のズレや無駄なやりとりの時間も減ります。数字に自信のある人も自身のない人も、ぜひ取り入れてみてください。

中尾 隆一郎 中尾マネジメント研究所(NMI) 代表取締役社長、旅工房 取締役

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なかお りゅういちろう / Ryuichiro Nakao

株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長。株式会社旅工房取締役。株式会社LIFULL取締役。株式会社博報堂DYホールディングスフェロー。LiNKX株式会社監査役。1989年、株式会社リクルート入社。2018年まで29年間同社勤務。2019年NMI設立。
専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、経営者育成、リーダー育成、OJTマネジメント、G-POPマネジメント、管理会計など。
著書に『「数字で考える」は武器になる』『1000人のエリートを育てた 爆伸びマネジメント』(かんき出版)など多数。

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