3位はエーザイで4.31%。6164億円の経常利益に対して26.6億円支出している。アジア諸国における医療技術向上に向けた医療技術移転交流の支援や2013年から4年間で計100万ドルのアメリカがん克服基金への寄付など本業を中心に幅広い活動を行っている。
以下、4位ファンケル4.04%、5位ツムラ3.95%、6位日清食品ホールディングス3.93%、7位ベネッセホールディングス3.89%、8位太洋工業3.85%と続く。
日本経済団体連合会(経団連)が1990年に設立した「1%(ワンパーセント)クラブ」では「経常利益(法人)や可処分所得(個人)の1%以上を目安に社会貢献活動に支出しよう」と呼びかける。今回のランキングでは93位のクレハ(1.00%)までが1.0%以上となっている。これから開始しようという企業は社会貢献活動の支出の目安にするとよさそうだ。
さて、3年間のデータが取れる683社の社会貢献支出額の合計は、2015年度2247億円、2016年度2492億円、2017年度2323億円と支出額は前年比で微減となった。2016年度は4月に熊本地震が発生したため、その支援で2015年度に比べて大きく増加したと考えられる。
東日本大震災の復興支援活動の継続状況は?
最後に毎年ご紹介している「企業の東日本大震災復興支援の状況」を見ていこう。2018年6月末時点で復興支援を「行っている」は47.2%(498社)、「行っていない」が50.6%(534社)だった。初めて「行っている」が過半数を割った昨年(49.4%、492社)をさらに下回った。
2011年夏時点には94.7%(730社)が何らかの支援活動を行っていたことと比べると活動後退は明らかだ。確かに現地に拠点のない企業にとって継続して行うことは難しい面もある。
復興支援を継続するには関係の深さも必要だ。今後は東北との結び付きが強い会社中心での活動になっていきそうだ。
国連は2015年9月に貧困など世界の課題を2030年までに解決するための目標、SDGs(持続可能な開発目標)を採択した。
この中には「貧困をなくす」「質の高い教育の提供」「ジェンダー平等の実現」「誰もが使えるクリーンエネルギーの実現」「持続可能な消費と生産の確保」といった17の目標とそれぞれに設定された合計169のターゲットがあり企業の積極的な関与が期待されている。
中にはすべてビジネスに結び付けて行うべきという考えもあるようだが、社会貢献的な活動でないと取り組みにくい分野も多い。『CSR企業総覧』に掲載している各社の事例を見ると、それぞれの理念に基づき、「必ずしもすぐに利益を求めない」活動にも幅広く取り組んでいる。
今後も本業で行える活動とそれ以外をバランスよく組み合わせて活動していく企業は多そう。そうした中から最終的にビジネスに結び付くテーマが出てくれば理想的だが、長い目で見ていく必要はありそうだ。
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