米中貿易協議の行方に楽観するこれだけの理由

中国は最終的に大きく譲歩せざるを得ない

5月6日、日本より一足先に取引を再開した上海市場は大幅下落し、3000の節目を大きく下回った。少なくとも当日の昼まで中国のマスコミはトランプ大統領の発言に対して沈黙を保っていたため、いったい何が起きたのか真相が分からないまま、「紅五月」を期待していた中国の投資家の出鼻は挫かれたのだ。

2018年12月、米中がお互いの報復措置を棚上げにし、貿易協議を始めると発表して以降、米中貿易戦争は小休止状態に入っていた。この間、双方の代表団が北京とワシントンを行き来し協議を重ねてきたが、交渉内容についてほとんど外部に伝わってこなかった。ただ、本来、今年3月末を期限に合意を目指すはずだった交渉が長引いていることから、米中協議が膠着状態に陥っていることは想像に難くなかった。

一方で、トランプ大統領は交渉が順調に進んでいると何度もツイッターなどで強調したほか、米代表団の関係者も多少の温度差はあったものの貿易協議の行方に楽観的な意見を示していた。

このペースで進めば、5月末のトランプ大統領の訪日から6月末の大阪サミット開催の期間に、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談が実現し、米中貿易協議の成果が発表されるのではないかとの見方も散見されていた。しかし、トランプ大統領のツイッターでバラ色のシナリオが消えた。

貿易摩擦だけはいずれ緩和に向かう

米中貿易協議はいったいどんなところで行き詰まっているのかは、情報がないためわからない。ただし、知的所有権の問題をはじめ米中間で対立している数多くの課題は果たして貿易協議で解決できるものなのか、最初からその着地点は見えていない。もともと貿易不均衡を是正するためにお互いに交渉のテーブルに着いたわけだが、交渉の中身はやがて貿易協議を遥かに超えてしまうところまで広がってしまったのが現状だ。

グローバル経済における中国経済の存在感が拡大するにつれ、米中関係の本来の姿を投資家は忘れていたのかもしれない。だが、経済規模で世界最大の資本主義国であるアメリカと世界最大の社会主義国である中国は、本来、水と油のように真っ向から対立するものなのだ。米中対立は筆者から見ればサプライズでなく、本来のあるべき対立構図となったにすぎない。

政治や軍事などの対立は永久に解消されないのかもしれないが、それでも貿易摩擦については、米中対立がいずれ緩和に向かうと筆者は楽観的に見ている。アメリカとの経済交流を通じて、中国は多大な恩恵を蒙っているためだ。

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