日本の車載電池が「排ガス規制で受ける恩恵」

ライバルは韓国・中国、問われる成長戦略

一方の中国NEV規制での産業界に大きな逆風が吹いている。EV政策に莫大な補助金を投じてきた中国は、2020年に補助金に終止符を打つ。予定通り補助金が終了すれば、中国ローカルEV各社や電池各社の経営破綻は避けられない。

また電池各社とつながる部材メーカーの経営悪化にもつながりかねずその影響は計り知れない。結果として、中国政府が提唱してきた「自動車強国」「エコカー戦略」も破綻することもないとは言い切れない。

1990年代から自動車メーカーへの規制は続いている。次世代車開発、販売のうえで避けては通れない課題だ(著者作成)

現時点での実態は、補助金頼みで事業を展開してきたEVメーカーや電池各社には大きな衝撃が出始めている。

BYDのEVバスが今年3月から5月まで生産停止になっている事情、中国第3位の車載用リチウムイオン電池(LIB)メーカーであるオプティマムナノエナジーが、昨年7月から半年間生産停止に踏み切ったと発表したものの、現在も再稼働する兆しはない。それどころか経営破綻に近い状況にあえいでいる。

電動車ビジネスの方向性で左右される戦略

一方、ZEV規制や中国NEV規制のクレジットから外されたHEVであるが、欧州や中国でも消費者の関心が高まり販売を急速に伸ばしている。

消費者がEVよりもHEVの価値を理解し始めたと言えよう。クレジットは自動車業界にとっては大きな原動力であるが、消費者にとっては無関係で、自動車としての価値や魅力が購買意欲の判断材料になっている。

さて、これまで中国における各種規制と現状を概観してきたが、これから競争が激しくなるのは車載電池の分野だろう。筆者は2017年12月の『週刊東洋経済』に、パナソニックの車載電池事業の勝算について記事を書いた。

そこでは、顧客として抱えるトヨタ、ホンダ、日産の電動車全カテゴリー(xEV)が拡大していけば必然的にビジネスが拡大するという肯定的な見方を示した。それから1年半ほど経過した現在、状況が変わってきている。

そのパナソニックは、車載用角型LIBの事業をトヨタ自動車との協業で、合弁会社を2020年に設立することを決断した。この方向性により、今後は車載電池のサプライチェーンにも影響が出るだろう。

生き残りをかけるパナソニックの思いが表れた格好だが、とくにホンダと日産にしてみれば、トヨタ系電池会社からLIBを調達することになるわけで、そのままサプライチェーンが継続されるとは考えにくい。

車載用電池の競争力と事業性は、そもそも電動車のビジネスがどうなっていくのかにかかっている。EVシフトが大きなトレンドとなってはいるものの、ハンディの多いEVが急激に増大するとは考えにくい。また、各国の発電事情によっては大気環境が改悪になる場合がある。すなわち、国や地域によって電動自動車の最適な解が異なることも事実であることを入念に勘案すべきである。

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