「いじめ動画」を投稿したがる子供の歪んだ欲望 加害者にはいじめも「ウケ狙い」にすぎない

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また、TikTokの「デュエット機能」を使った嫌がらせも起きている。デュエット機能とは、他のユーザーの動画とコラボできる機能だ。元動画の横に並んで表示されるので、一緒にダンスを踊ったり、掛け合いをしたりしているように見せることができる。

「デュエット機能」を悪用した「いやがらせ」が横行している(筆者撮影)

知り合いの女子中学生に話を聞くと、「私が見たのは、A子が友だちのB美の顔真似をするコラボ動画。馬鹿にして見える動画だったから、B美はすごく嫌がってTikTokをやめちゃった」という。

A子は、複数の動画に対して同様の行為を働いていたようだ。設定から「自分とデュエットできる人」を制限するとこのような問題は起きづらくなるが、その代わり楽しさも制限されてしまうかもしれない。

いじめ動画の「大きすぎるリスク」

いじめ動画には、さまざまなリスクがあることも忘れてはならない。たとえば、一度投稿された動画が、もし他人に保存された場合、被害者はそれを削除することはできない。もしその動画がYouTubeやツイッターに投稿されたら、いじめが解消された後でも被害者の尊厳が傷つけられる可能性が高く、同様の問題は実際に起きている。

加害者にとってのリスクも大きい。いじめ動画が広く拡散し注目を集めれば、それを見た一部の人間よって「犯人探し」が始まる。多くの場合、加害者が特定されて、テレビや新聞などで報道されたり、まとめサイトに名前や学校名、顔写真などの個人情報が掲載されたりするケースがよく見られる。

まとめサイトに掲載される情報は恣意的で、見ている人間に悪い印象を与える構成が多い。そんな情報がネットに掲載されたら、今後の進学や就職活動に悪影響を及ぼす事態にもつながりかねない。なので、いじめ動画はもちろん、「いじめに間違えられかねない動画」の投稿も避けたほうがいい。

そもそもいじめは「他人の尊厳を傷つける行為」だ。どんな理由があったとしても、正当化はできない。いじめ動画の過激化を避けるためにも、もし自分が親であるならば、子どもたちにそれによって被害者がどれだけ傷つくのかと同時に、加害者側にも大きなデメリットがあることを伝えたほうがいいだろう。

高橋 暁子 成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

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たかはし あきこ / Akiko Takahashi

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』 『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。公式サイトはこちら
 

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