売れない会社は顧客1人すら具体的に知らない 耳を傾け理解できれば成長の発想が見える
ここで、「アイデア」が見えました。この顧客の具体的な経験と感想が、その後に商品を化粧水ナンバーワンまで押し上げた「手に頬がくっついて離れなくなるほど"もちもち肌"になる化粧水」という訴求、「アイデア」につながりました。
この「アイデア」をマーケティング訴求に変換し、小規模テストで効果検証をして、その後の5年以上にわたる大規模展開に結びつけることができたのです。この「アイデア」が見つかったことが、年間160億円の売り上げ規模まで伸長し、アジア各国に拡販するに至った最大の理由だと断言できます。
ヒントは実在する顧客にある
実際にマーケティング現場では、「どうしたら売り上げが伸びるのか?」「利益が上がるのか?」「どうすれば顧客が増えるのか?」と、日々マーケターが頭を悩ませています。ですが、アイデアを出すために大勢で集まってブレストやディスカッションをしても、有益な案は見つかりません。
ブレストでは既視感があったり、単に奇抜なだけだったりと、商品提案としても広告訴求としても実現できないような案ばかりが多く挙がります。その理由は、ブレストで想定する顧客像に、具体性がないからです。
商品やサービスに、届けたい顧客がいる以上、マーケティング上で機能する強い「アイデア」を導き出すには、実在する1人の顧客を深掘りすることが唯一有効な方法です。その準備として、顧客分析のフレームワークで対象ターゲット全体を把握して「どのセグメントのN1顧客を深掘りし、何を知りたいのか」を設定する方法があります。
名前の見えない複数の誰かではなく、実在する1人のお客様に会って、ブランドとの初めての出会いからこれまでの経験に丁寧に耳を傾ければ、購買行動とその行動を左右する深層心理の関係が有機的につながります。その深い理解と共感を通じて、ビジネスを成長させる「アイデア」が必ず見つかるのです。
「アイデア」は、一部のトップマーケターやクリエイターのひらめきでしか生み出せないものではありません。手順を踏むことで、必ずその糸口をつかむことができます。
一方で、「アイデア」は合理性や理論だけで創出できるものでもありません。人の行動は、合理性だけでなく、心の動き、深層心理の変化に左右されるからです。競争を抜け出し、際立った成果を上げるためのすべてのヒントは、1人の顧客の心理にあるのです。
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