「日本のホットケーキ」、世界を魅了する5大理由 「造形美」「差別化」…魅力溢れるその訳は?

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次に、外国人がホットケーキを食べにくる理由は、家では絶対に作れない「差別化」された商品であることです。

ほかでは真似できない「差別化」を目指す

【3】「めちゃめちゃおいしい」「めちゃめちゃ美しい」で差別化する

ビジネスで成長するためには、新たな事業や商品などに挑戦し戦線を拡大させる「広げる」と、無闇に間口は広げずに新たな用途開発など需要を粘り強く掘り起こしていく「深める」の2つの方向性があります。

会社の状況や競争環境などで変わるので、どちらか一方が正解というわけではありません。問題なのは「深める」可能性があるにもかかわらず、安易に「広げる」方向に向かってしまうことです。

真の差別化を実現しようとするのであれば、「深める」ことが不可欠です。もちろん、「深める」には時間も手間暇もかかります。しかし、だからこそ、ほかの会社がまねできない独自の差別化が生まれるのです。

繁盛店は、ホットケーキを「深める」努力をしています。そしてその結果、「めちゃめちゃおいしい」ホットケーキや「めちゃめちゃ美しい」ホットケーキを生み出すことに成功しています。

「ホットケーキなんて誰も外で食べない」と諦めず、「どうしたらわざわざ食べにいく価値のあるホットケーキになるのか」と、創意工夫を凝らす。目には見えない潜在需要を掘り起こし、外国人客などの新たな市場をつくっているのです。

【4】一つひとつ「心血を注いだ」丁寧な対応

ホットケーキを作る人たちは、私にビジネスで最も大事なことに気づかせてくれました。もしかしたら人が生きていくうえで最も大事なことかもしれません。それは「本気で向き合い、心血を注ぐ」ことの大切さです。

繁盛店の店主のみなさんは、ホットケーキという一見何の変哲もないありふれた食べ物に、自分の人生を賭け、毎日毎日、真正面から向き合っています。

だからこそ、何十年もの間、お客さまに支持されつづけるホットケーキを作ることができているのです。

世の中では、新しいものばかりがもてはやされる風潮が高まっています。しかし「新しいからありふれていない」「古いからありふれている」という短絡的な見方はナンセンスであり、歪んでいます。

ありふれているかどうかを決めるのは自分自身です。周りが「ありふれている」と思っていても、自分が「ありふれていない」ものにすればいいのです。

繁盛店でホットケーキを作る人たちは、「どうすればおいしいホットケーキを作れるのか」「どうすればお客さまに喜んでもらえるのか」ただそれだけをひたすら考えています。

一つひとつ「心血を注いだ」丁寧な対応をすることによって、一見ありふれたホットケーキが特別なものに変わるのです。

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