三菱UFJ社長「チャレンジする人材を評価する」 4月就任の三毛兼承・新社長が語る新戦略

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銀行に対するニーズは健康に対するニーズに近い。健康診断や処方した薬の提供はできるだけ素早く行う。ただ、調子が悪い、心配だという時にはじっくりと相談ができる。これが、これからのチャネル戦略、顧客接点の基本的な考え方になる。

【記者の視点】MUFGは2019年1月、東京・目黒区の学芸大学駅前にデジタル店舗「MUFG NEXT」をオープンした。いわば、リアルからネットへの移行を担うような店舗だ。同店舗では、配置されたコンシェルジュを通じてネットバンキングの登録や利用を促す。
一方、相談というニーズに対しては「コンサルティングオフィス」という形式の店舗を設置する計画だ。デジタルやコンサルティングなど、機能を特化した店舗を2023年度までに100カ所程度まで拡大する。
MUFGは2018年6月の株主総会でイメージ映像を流し、20年後には銀行の店舗が消えてなくなる未来像を示した。今変わりつつある銀行の姿はまだ過渡期に過ぎない。

外国人役員は今後も増えていく

ーーMUFGの総資産はGDPの約6割、300兆円を超えました。リスク管理、ガバナンスをどう進めていくのでしょうか。

これだけの大企業なので、一人で(グループを)マネジメントできるわけではない。MUFGはこれまで、規模を拡大するとともに経営管理体制を高度化してきた。私のするべきことは適切に人材を登用することと、後継が絶えないような人材育成だ。

「外国人役員は今後も増えていく」と語る三毛社長(撮影:尾形文繁)

グローバルにグループとして大きくなる中で、日本人だけでグローバルガバナンスを達成することは不可能だ。外国人の役員は今後も増えていく。

(組織体制としては)2018年7月に事業本部制を導入した。大企業と中堅中小企業では当然銀行に求めるニーズは異なる。大企業ではグローバル展開に対するニーズが大きく、中堅中小では事業承継や相続の問題を持つ取引先が多い。社会が変化し、顧客のニーズが変化すれば大きく変わる。行動だけでなく組織も顧客本位で切り替えていく。

【記者の視点】MUFGの役員構成を見ると、2018年4月時点で、社外取締役に2名、執行役員に7名の外国人が名を連ねている。
2018年7月に新しく導入した事業本部制では、従来5つあった事業本部を6つに増やした。日系、非日系企業を問わず海外事業を手がけてきた国際事業本部を解体し、日本企業の海外事業は国内部門の管轄とした。海外部門は大企業担当(GCIB)と中小企業担当(GCB)に分割した。
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