新車登場で秒読み、相鉄「都心直通」は11月開始 新宿方面へ1本、ブルーの電車で沿線をPR

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12000系より一足早く、2018年2月には東急線への乗り入れを行うために開発された「20000系」が営業運転を開始している。製造したのは日立製作所。「Aトレイン」という日立独自の軽量アルミ車両向け製造技術が用いられている。

12000系より一足早く、2018年2月に運行を始めた東急直通対応の新型車両20000系(撮影:尾形文繁)

こちらも「ヨコハマネイビーブルー」の塗装にフロントグリルが特徴だ。都心直通を機にデザイン面でも他社にないインパクトを持たせ、相鉄ブランドを印象付けようという意図がうかがえる。インテリアもグレーを基調としたデザインで、12000系と共通したイメージだ。

ただ、20000系が東急線に乗り入れるのはまだしばらく先の話だ。だとしたら、開発の順序はJR線に乗り入れる12000系が先になってもいいはずだ。

そうならなかったのには理由がある。相鉄線にはJRの標準的な通勤電車で、東海道線などで使われている「E231系」「E233系」をベースに開発された車両も走っており、JR線乗り入れはさほど困難ではない。一方、東急は車両の幅が相鉄線より狭く、信号システムなども異なるため、東急乗り入れ用車両は各種のシステムや保安設備への適合の確認に時間を要する。そのため、東急乗り入れ用の20000系を先に開発することになったわけだ。

「悲願」の都心直通には課題も

11月30日のJR線乗り入れ後は、相鉄線利用者は乗り換えなしで大崎、渋谷、新宿方面に向うことができる。しかし、相鉄・二俣川以西の海老名、大和、湘南台は小田急線と接続しており、新宿方面への利便性がもともと高い。一方で、東京、品川方面へは武蔵小杉駅などで乗り換える必要があり、横浜市は品川、東京方面への乗り入れも要望している。

JR直通線は運賃面で若干割高になるという課題もある。相鉄は2月下旬にJR直通線の運賃を国土交通省に申請したが、その際の発表では海老名―新宿間の運賃は860円。小田急の同区間は500円だ。二俣川―東京間も、現状の横浜乗り換えなら670円だが、JR直通線経由だと760円となる。

このようにさまざまな課題を抱えつつも、12000系登場で相鉄の都心乗り入れは秒読み体制に入った。実際の運行が始まれば、よくも悪くも相鉄の注目度がますます高まる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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