JR北海道は2012年の工事認可当時、在来線ホームの南端に当たる1、2番線を改装して新幹線を乗り入れる一方、11番ホームを新設して北海道新幹線の全線開通を迎える計画だった。
しかし、2015年、在来線の運用が困難になるとの理由から、JR北海道が新幹線ホームの設置場所として、新たに駅舎の西側、東側、さらに地下を検討していることが明らかになった。
駅周辺整備やまちづくりへの影響も大きいため、国土交通省と鉄道・運輸機構、北海道、そして札幌市を交えて議論が錯綜、一時はこの経緯自体が市民らの不信を招いた。それでも2018年3月にようやく、東側案よりさらに東側へホームを移す現行案(大東案)に落ち着いた。
札幌駅自体の大きさのせいか、上空から見下ろす限り、構造物としての違和感はさほどない。グランクラスやグリーン車の位置には、専用エレベーターを設置し、地上には貴賓室なども設ける構想があるという。
とはいえ、これらの車両に乗った乗客が在来線に乗り換える場合は、新幹線1編成分を歩くことになり、特に荷物が多い人や高齢者には負担が大きそうだ。同一ホーム乗り換えの新潟駅や中2階でつながる金沢駅に比べると、不便さは否めず、賛否の声が上がっている。
駅周辺と交通網の整備
北海道新幹線ホームに接する市街地は現在、駅の真横という立地にもかかわらず青空駐車場になっている。区画でいえば「北5西1」街区から「北5東1」街区だ。この一帯は札幌市が2003年に旧国鉄清算事業団から買い上げた。
しかし、再利用計画が宙に浮いたため、長く駐車場として暫定利用してきたという。市は2016年、現在はバスターミナルを併設する「札幌エスタ」が立っている「北5西2」街区と、駐車場になっている「北5西1」街区を一体化して再開発し、JRタワーと並ぶ170m級の高層ビルを建設する構想を打ち出した。
その後、新幹線ホーム問題が決着をみたため、市は2018年9月に「札幌駅交流拠点まちづくり計画」を策定し、札幌駅と新幹線ホームを核にした市街地整備構想を明示した。
一帯には「国際水準のホテル」やバスターミナルを整備する方針がうたわれている。札幌駅から北東へ約300mの「北8西1」街区には50階建てのタワーマンションの建設構想があり、東北東へ約500mの「北6東3」街区と周辺ではオフィスビルなどの工事が始まるなど、いくつもの大型プロジェクトが進む。
約4km離れた札樽自動車道・札幌北インターチェンジと札幌駅の行き来を改善する「札幌都心アクセス道路」整備や、大通バスセンターの廃止・統合など、交通面の検討も活発化している。
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