注目高まる武蔵野線、潜在力をどう引き出すか 外環道のように都心を通らない特性を活かせ

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そして、沿線開発の進展に伴う人口増に応じて、他路線からの乗換利用も増えて乗車人員は伸長し、列車本数は段階的に増発された。また新駅設置や京葉線などとの直通運転も行われ、利便性は大きく向上した。武蔵野線沿線の風景や旅客流動はとりわけ、平成時代に大きな変化を遂げた。同線発展の軌跡は、平成時代の進展に重なる。

間もなく平成が終わりを告げ、新しい時代が幕を開ける。武蔵野線を次時代により良い形で引き継ぎ、発展させるため、次の3点を提案したい。

武蔵野線の発展へ向けた提案

第1点は、最新鋭車両の投入である。運用車両は、他路線からの転用車両が大半を占める。

「東京メガループ」を構成する武蔵野線・京葉線・南武線・横浜線の中で、新型車両のE233系が投入されていないのは武蔵野線だけである。次の車両更新時に、京葉線と武蔵野線の車両形式を統一し、車両メンテナンス負担の軽減を図ることでコスト削減につなげたい。そして何よりも、武蔵野線のイメージアップにつげるためにも、最新鋭車両の投入が待たれる。

第2点は、多彩な乗車目的に対応するサービスとしての有料座席・特急列車の検討である。船橋法典駅以北と東京駅の間などの中距離利用や、朝の混雑が特に激しい東浦和駅→南浦和駅間(2017年度の混雑率170%)などで、一定の着席需要が期待できる。

鉄道ジャーナリストの北村幸太郎さんも「有料座席は(比較的運行距離が短い)京王ライナーなどで実績があり、武蔵野線でも可能性はある」と期待を示す。また、北海道教育大学の武田泉准教授(地域交通政策論)は「大宮―八王子か、大宮―我孫子―成田空港間などに、特急列車を1時間おきに運行するのが望ましい」と提案する。

東京の外縁部を結ぶ鉄道路線のうち、東武野田線で一足早く有料特急の運行が実現していることを見ても、武蔵野線でも例えば、特急列車やロング・クロスシート両用車両による一部車両の有料座席などに一定のニーズがあることは間違いない。

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