ここで別の統計を見てみます。警視庁の「子供の交通人身事故発生状況」という統計によると、子どもの交通事故でいちばん多い原因は飛び出しです。
これは、ほかの各種調査でも明らかになっています。ですから、通学路の中で飛び出しの危険があるところは必ず確認してください。そして、「ここで道路に飛び出すとどうなるかな?」と言って考えさせましょう。また、「止まる」「見る」「待つ」「安全に渡る」などの行動がしっかりできるように、実際に体を使って繰り返し練習しましょう。とにかく、体で覚えることが大事です。
徹底指導しておきたいこと
また以前、私が子どもの交通指導を行う警察官に聞いた話では、子どもは近づいてくる車のスピードを判断できず、渡れると思って飛び出して事故に遭うことも多いそうです。ですから、「車が来たら待つ」「迷ったときは待つ」を徹底指導するようにしてください。
飛び出しについて、意外に要注意なのが横断歩道です。子どもは横断歩道なら安全と思い込んで、確認しないまま飛び出してしまうことがよくあります。実際、先ほどの警察庁の統計を見ると、事故類型別死傷者数で最も多いのは横断中であり、そのうちで「横断歩道」での事故が39.1%と、約4割にもなります。このことは大人も子どももよく覚えておく必要があります。
さらに私の経験で言いますと、交差点での待ち方も教えておく必要があります。子どもたちは交差点で信号待ちしているときなどに、車道ぎりぎりの場所で立っていることがよくあります。これだと、特にバス、トラック、ダンプカーなどの大型車両が曲がるときに非常に危険です。なぜなら、大型車両が曲がるときは、後輪が前輪よりもかなり内側を通るからです。
この前輪と後輪の差を内輪差といいますが、大型になればなるほどこの内輪差が大きくなります。でも、子どもたちは内輪差というものをよくわかっていません。車道ぎりぎりの所に立っていると、前輪は大丈夫でも、その後の後輪に巻き込まれる危険性が高まるのです。ですから、現地で実際の大型車が曲がるところを観察させながら内輪差について教えてください。そして、車道から1メートル下がって待つように教えてください。
通学路自体の安全性についても親の目で見て確認しておくことも大切だと思います。というのも、学校が指定する通学路がある場合も、親の目でよく見てみると別の道のほうが安全と気づくこともあることだからです。
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