統計で見る「小学生の通学路」の危険すぎる実態 「小1の5月」「下校中」など"特徴"がある

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長年の経験からの私見ではこうです。4月は子どもたちも緊張していますし、大人たちも春の交通安全運動などによって意識が高まっています。地域のボランティアやPTAなどによる見守りも盛んに行われていますので、その成果も出ていると考えられます。ところが、5月になりますと、子どもたちも慣れてきて緊張がゆるみますし、大人による見守りも4月より少なくなります。こういったことで、5月は要注意なのです。

また、同統計によると、時間帯別死傷者数では、多い順に15時台、16時台、17時台、7時台となっています。そして、通行目的別死傷者数では、多い順に下校中、登校中、遊戯、訪問、買い物となっています。

この2つの統計から見えるのは、登下校中が危険であり、特に下校中は要注意ということです。そして、これらの2つのいずれにおいても、1年生と2年生が特に多くなっています

慣れによる慢心がいちばん危険

同統計のいろいろなグラフを見ると、2年生は1年生に劣らず危険だということがわかります。過去小学生たちと接してきた経験から、2年生は注意力や敏捷性において1年生とそれほど変わらないのに、慣れによる緩みがあるのではないかと思います。

また、2年生の親たちにも、1年生の親たちよりはるかに慣れによる緩みがあります。無事に1年生を乗り切った安堵感もあるでしょうし、今まで緊張してきた反動もあるかもしれません。こういったことから、子どもの安全についての配慮や指導においても、緩んでいる可能性があります。

また、以前、2017年に警察庁が発表した別の統計によると、2012年から2016年までに交通事故で死亡した小学生は175人で、その内訳は、女子児童55人に対して男子児童は120人でした。なんと、男子は女子の2.2倍です。警察庁によると、男子児童のほうが活発で飛び出しなどの危険性が高いのではないかということです。これは、テレビや新聞でも大きく報道されたので見た人も多いと思います。

うちの子は1年生ではないから大丈夫と高をくくることなく、どの学年においても、一年に一度、この時期にぜひ通学路の再確認をしてほしいと思います。何度も言いますが、慣れによる慢心がいちばん危険だからです。また、通学路の環境も一年経てばいろいろな変化があり、以前は問題なかったところでも新たに危険が発生していることもありえます。

親子での確認は、できるだけ実際の登下校と同じ時間帯に行うといいでしょう。通勤ラッシュの時間帯とそれ以外の時間帯では、同じ道でもまったく様子が違ってくるからです。実際に親子で通学路を歩きながら、危険箇所を確認したり、安全な歩き方や横断の仕方を身体を使って覚えさせたりすることが大事です。

また、その際は子どもの目の高さで安全確認しましょう。大人の目の高さでは見渡せても子どもの目の高さでは不可能ということもあるからです。

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