「生前贈与」を利用しない人が「大損」するワケ コツコツやれば大抵の人は相続税がゼロに

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ただし、この特例の利用には条件があり、資金については「教育資金贈与専用口座」に預け入れを行うなど、信託銀行などの金融機関を通じて贈与する必要があります。贈与を受けた人は学費などの支払いを行った場合、その領収書を口座開設した金融機関に提出して初めて、非課税の適用が受けられるのです。

また、贈与を受ける人の年齢は30歳未満に限ります。贈与を受けた資金が30歳を過ぎて残っていた場合、その残額は課税対象となるので注意が必要です。節税目的で非課税枠ギリギリの金額を贈与するよりも、子や孫にいくら教育資金が必要なのか逆算したうえで、30歳を超えて資金が残らないように贈与するのが賢いやり方といえそうです。

なお、この教育資金の一括贈与による贈与資金は、暦年贈与と違って相続開始前3年以内の贈与財産であっても、相続財産に加算されない財産となります。

教育資金一括贈与の特例については、当初2019年3月31日までの期間限定でしたが、2018年12月の税制改正により、2年間延長(2021年3月31日まで)されることになりました。ただし、23歳以上30歳未満の趣味の習い事等に利用される資金については、同特例の対象外となるようです。

一括贈与に関する特例は、教育資金だけではありません。結婚や子育て資金、また、住宅取得資金などについても利用できます。「結婚・子育て資金の一括贈与」については、最大1000万円まで(結婚資金については300万円まで)の一括贈与が非課税となります。住宅取得資金については、取得時期や住宅の種類、また消費税率10%で住宅購入の契約をしたかどうかなどによって最大3000万円までが非課税となります。

住宅取得資金に関する生前贈与には収入制限などがある

結婚・子育て資金の一括贈与は教育資金と同様に、金融機関で開設した専用口座に預け入れを行い、支払いに充てたことがわかる領収書等を提出して初めて非課税の適用を受けることができます。対象年齢は20歳から49歳までで、50歳になったときに残額がある場合は課税対象となります。また、同特例も当初は2019年3月31日までの予定でしたが、税制改正により2年間延長されました。

住宅取得資金の贈与に関する特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書を税務署に提出する必要があります。また、1月1日時点で20歳以上であることや贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下など、年齢や収入による制限も存在します。

このように生前贈与をうまく活用することで、相続税を軽減することができます。残された人の税負担を軽減するためにも、利用できる制度がないかどうか、いま一度確認してみてはいかがでしょうか。

吉田 祐基 ライター兼編集者

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よしだ ゆうき / Yuki Yoshida

各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行う株式会社ペロンパワークス所属。大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。株・投資信託の編集・執筆を担当。ファイナンシャルプランナーの資格も。

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